用語解説

2025.02.18

利回りとは?種類と計算方法を徹底解説

利回りは投資したお金がどれだけ増えたかを示す「もうけ具合」のことです。本記事では「利回り」の考え方から、各種利回り(表面利回り・実質利回りなど)の詳細を解説し、株式や不動産、投資信託など異なる投資手法ごとの利回り計算方法を紹介します。また、利回りが投資戦略やリスク管理にどう役立つかについても詳しく解説します。

利回りとは、投資元本に対する収益の割合を示し、一般的には「年間収益率」として表されます。たとえば「5%の利回り」は、投資元本に対し、年間で5%の利益が得られることを意味します。利回りは、資産運用のパフォーマンスを客観的に評価するための基準です。

 

利回りは、さまざまな投資対象の収益性を比較するために使われます。

たとえば、5%の利回りが期待できる投資信託と、3%の配当利回りがある株式を比較する際、利回りを基準に、どちらが効率的な投資が可能かを判断できます。

また、投資のリスクと収益性のバランスを考える上でも、利回りの理解は不可欠です。一般に、利回りが高い投資は収益性は上がりますが、それに比例してリスクも大きくなる傾向にあります。

 

利回りにはいくつかの種類があります。

 

「表面利回り」は、収益を単純に投資額で割った指標です。

たとえば、不動産投資における表面利回りは、物件価格に対して年間の賃料収入を基に計算されます。この表面利回りは計算が容易ですが、管理費や税金などの運用コストを含まないため、実際の収益性を正確に反映しているとは限りません。

 

「実質利回り」は、表面利回りから、必要経費(不動産投資であれば管理費や修繕費など)、税金などのコストを差し引いて計算されます。たとえば、年間収益が100万円で管理費や税金が10万円かかる場合、実質利回りは表面利回りよりも低くなります。実際の投資収益性を把握する上で、実質利回りの方が信頼性が高いといえるでしょう。

 

単利と複利は、投資において考慮する重要な要素です。

単利は元本に固定の利率で利息を得る方式で、投資期間が短い場合に主に使われます。

一方、複利は元本と利息を合算した金額に対して次年度以降の利息が計算されるため、長期間の投資でより多くの利息を得ることが可能です。

 

たとえば、100万円を年利5%で単利運用する場合、1年間で5万円の収益が得られます。複利運用の場合、翌年以降は元本が増加するため、収益も増加します。特に長期運用においては、複利の効果が利回りの成長を大きく支えます。

 

次に、投資信託、株式投資、不動産投資における利回りの計算方法を解説します。

 

1.基準価額を使った利回り計算方法

投資信託の利回りは、購入時と売却時の基準価額(投資信託1万口あたりの価格)の変動によって算出されます。基準価額は日々変動し、投資信託の運用状況に応じて上下します。

基準価額を使った利回りは、以下の計算式で計算されます。

また、基準価格の変動だけでなく、分配金を含めた利回り(トータルリターン)を確認することで、投資信託の実質的な収益性を把握できます。

 

2.分配金込みの利回り計算方法

 

分配金込みの利回り(トータルリターン)は、基準価額の変動に加えて、分配金をすべて再投資したと仮定し、一定期間内に投資した商品への投資から得られる総合収益を指します。これにより、一定期間のファンドの総合的な運用成績を表すものです。利回りを算出すれば、投資信託における1年あたりの収益の割合を把握することができます。

売却損益の合計から税金や手数料を差し引いた金額(税引後)とします。

 

この場合、基準価額の現時点での変動と分配金のみを考慮します。計算式は以下の通りです。

分配金が多い投資信託は、基準価額の上昇だけでなく、定期的な収益も期待できるため、長期的な投資先としても魅力的です。

 

1.配当利回りの計算方法

株式投資では、「配当利回り」が収益性を示す主要な指標として用いられます。

配当利回りは、株価に対する年間配当金の割合を示し、安定的な収益を望む投資家にとって重要な判断基準です。配当利回りは、以下の計算式で算出されます。

高い配当利回りを誇る銘柄は、配当金による収益が見込まれますが、一方、株価が下落する場合もあるため、配当利回りが高いというだけで投資判断をするのは危険です。株式の収益性とリスクを総合的に判断することが必要です。

 

2.株式と他の金融商品との利回り比較

株式の配当利回りと他の金融商品(例えば、債券や投資信託など)の利回りを比較することで、投資判断がしやすくなります。株式は変動が大きい一方で、配当や株価上昇に伴うキャピタルゲインを得る可能性もあります。そのため、リスク許容度や投資期間に応じて最適な商品を選ぶことが重要です。

 

1.表面利回りの計算方法

不動産投資において、表面利回りは以下の計算式で算出されます。

たとえば、年間賃料が100万円で物件価格が2,000万円の場合は、下記の様に計算し、表面利回りは5%になります。

100万円÷2,000万円×100=5%

 

表面利回りは、物件の収益性を大まかに評価する際に便利ですが、管理費や税金、修繕費などのコストを考慮しないため、実際の収益性を正確に示すわけではありません。

 

2.実質利回りの計算方法

実質利回りは、年間の家賃収入からランニングコスト(固定資産税、火災保険料、管理費、修繕費など)を引いた金額を基に計算され、以下の計算式で算出されます。

 

たとえば、年間収益が100万円、管理費が10万円、物件価格が2,000万円の場合、下記のように計算し、実質利回りは4.5%になります。

 

(100万円-10万円)÷2,000万円×100=4.5%

 

実質利回りは、表面利回りよりも現実的な収益性を把握するための指標であり、不動産投資を検討する際に参考になります。

 

 

利回りは投資戦略を立てる際に重要な役割を果たします。ここでは、利回りを活用した投資戦略の考え方や、利回りを基準にした投資判断のポイントについて解説します。

 

 

利回りとリスクの関係は、投資先によって異なります。高配当の株式や高利回りの不動産は、必ずしもリスクが高いとは限りません。特に高配当株式の場合、企業の配当政策や財務状況によって状況が大きく異なります。

高配当利回り株は、急激な成長は期待できないものの、安定した業績を持つ成熟企業であることが多いです。これらの株式は、株価上昇による大きなキャピタルゲインよりも、安定的な配当収入を重視する投資家向けの特徴を持っています。

一方で、極端に高い利回りには注意が必要です。

 

不動産投資の場合、現在のテナントが退去した場合に次のテナントの確保が難しい場合(例えば立地に問題がある、築年数が非常に古い、管理状態が良くないなど)利回りが高くなる傾向があり、これは投資元本の回収可能性が低いことを示唆している可能性があります。

したがって、投資判断には利回りだけでなく、企業の財務状況、業界動向、成長性など、総合的な分析が重要です。リスク管理を念頭に置きながら、分散投資によってポートフォリオのバランスを取ることが、長期的な資産運用には不可欠です。

 

利回りを考慮したポートフォリオは、収益性とリスクのバランスを維持するために効果的です。例えば、安定した債券や預金と、利回りの高い株式や不動産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えながら収益を確保できます。

 

利回りは、投資の収益性を評価するために欠かせない重要な指標です。

利回りの種類には、単純な「表面利回り」から、コストを考慮した「実質利回り」、元本と利息を加算する「複利利回り」まで投資対象によって適切な指標を使い分ける必要があります。

また、投資信託、株式、不動産といった各投資分野ごとの利回り計算方法を理解することで、資産運用の精度を上げることができます。

 

利回りは収益性を示す一方で、リスクとのバランスも求められるため、投資判断においてはリスク管理が不可欠です。本記事を通じて利回りの基本や計算方法を理解し、投資の収益性を把握するための参考にしていただければと思います。

 

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