マネー&ビジネス
2023.12.28
クラウドファンディングは、近年注目されている投資商品の一つです。インターネットを通じたプラットフォームを提供する企業が増えていることなど、認知度の高まりを感じることができます。
しかし、上場株式や投資信託などに比べるとメジャーとは言えず、実際にどんな投資商品なのかよくわからない人もいらっしゃるでしょう。クラウドファンディング(*1)は投資の手間や利回り(投資に対する収益の割合)などの観点からも、幅広い投資家層の方におすすめしたい投資商品です。
本記事では、クラウドファンディング市場が拡大している要因・分析、メリット・デメリット、クラウドファンディングをおすすめする理由について紹介します。
(*1)本記事では寄付型や購入型を除くクラウドファンディング(投資型)について言及します。
2014年の金融商品取引法の改正以降(*2)、株式型や不動産投資型、貸付型(ソーシャルレンディング)、ファンド型などのクラウドファンディングを取り扱う金融業者の参入がしやすい環境が整備されてきました。
2021年に実施された一般社団法人 日本クラウドファンディング協会(*3)のクラウドファンディングの市場規模調査では、以下のような結果となっています。
2018年頃、貸付型クラウドファンディングを提供する企業の行政処分が相次いだことで2019年は大幅に減少したものの、2017年の市場規模が1,402.7億円に対して、2020年は1,707.2億円と増えています。
(*2)参考:金融庁「金融商品取引法等の一部を改正する 法律(平成26年法律第44号)に係る説明資料」
(*3)参考:一般社団法人 日本クラウドファンディング協会「クラウドファンディング 市場調査報告書」
創業したばかりの企業やスタートアップなどの事業規模が小さい企業、赤字が続いている企業などは、銀行からの資金調達が難しいのが実情です。
しかし、クラウドファンディングはプロジェクトの内容、商品やビジネスの新規性、企業の想い・ヴィジョンに共感してくれる出資者を募ることで、資金調達が可能となります。資金調達方法が増えることは、中小企業にとって大きな魅力です。
また、インターネット上で、日本全国から投資家を募ることが可能なプラットフォームが増えていることも、クラウドファンディング市場が賑わう要因になっています。こうした理由で、新しい資金調達方法の一つとしてクラウドファンディングを選択する中小企業に推奨されることがあります。
投資家としては、複数のプロジェクトから自分が賛同するプロジェクトを選んで少額(*4)から投資できる点や、手間のかからない比較的高利回りな商品も存在する点などが評価されています。
株式会社 矢野経済研究所が2022年に配信した国内クラウドファンディング市場に関するプレスリリース(*5)によると、貸付型に関しては低迷が続いていますが、不動産型と株式型は法整備が後押しとなり参入企業が増加し、将来的には市場拡大していく見通しとのことです。
(*4)少額ではない商品もあります。
(*5)参考:2022年8月3日「国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2022年)」
クラウドファンディングのメリットは、下記の4つです。
①少額から投資できる
②運用の手間が少ない
③個性的なプロジェクトへの投資が可能
④リスク分散ができる
様々な種類がある中でも、クラウドファンディングのプロジェクトの中には、最低投資金額が設定されている商品もありますが、最小1万円など少額から投資できる商品もあります。そのようなプロジェクトでは、大きな金額を用意する必要がなく投資を始められる点が魅力です。
上場株式投資のように日々の価格変動もないため、購入したら基本的には償還を待つのみとなります。運用の手間が少なく、償還になれば運用実績に応じた利益を得られるので、運用しやすい投資商品と言えるでしょう。
また、クラウドファンディングは、新しいアイデアや革新的なプロジェクトを直接サポートできるのも魅力です。クラウドファンディングのプラットフォームには、様々なプロジェクトが掲載されます。その中から自分が共感し、応援したいと思うプロジェクト毎に少額投資することが可能です。結果として、このような投資方法はリスク分散にもつながります。
クラウドファンディングのデメリットは、下記の4つです。
①元本割れのリスクがある
②情報の非透明性
③途中で解約することができない
④流動性が低い
クラウドファンディングは、元本割れのリスクがある投資商品です。途中で投資先が倒産したり、プロジェクトが失敗したりする場合には、投資した金額を取り戻せなくなるリスクもあります。
また、クラウドファンディングの投資対象は、未上場企業のプロジェクトであることが多いため、投資先が匿名のケースもあり、情報を得にくい面もあります。過去実績があり、信頼できるプラットフォームを利用するのがリスクを避ける上で重要なポイントとなります。
また、原則として途中解約や持分の他人への譲渡が禁止又は制限されます。そのため、必要なタイミングで売却ができる株式投資などと比べると流動性が低いと言えます。クラウドファンディングの投資期間は数ヶ月~数年になるので、その期間に使う予定がない余裕資金を投資に使いましょう。
クラウドファンディングは、日々の経済・政治・市場情報のチェックといった日常的な運用の手間が必要ないため、幅広い投資家層にとって始めやすい投資商品と言えます。
日々価格が変動する株式に投資をする場合、ニュースで企業や経済についての情報を四六時中追う必要があります。例えば、経済状況が悪くなり自分が思ったように株価が動かない場合は、次の戦略を立てて売却したり、他銘柄を購入するなどの対応が必要です。しかし、市場が動く日中に仕事をしていると、売り時・買い時を逃してしまうこともあります。
一方、クラウドファンディングは前述のとおり元本毀損のリスクはあるものの、プロジェクトが順調に進めば、償還日に利回りに応じた償還金を得られる商品もあります。
また、プロジェクトによっては1万円からの投資も可能なので「投資に慣れておらず、大きな金額を投資に使うのは不安…」という方にとっても挑戦しやすいのではないでしょうか。
クラウドファンディングは、比較的高い利回りを求める投資経験者にとっても満足のいく結果が得やすい投資商品です。
クラウドファンディングの利回りは、プロジェクトによって異なります。プロジェクトの中には、想定利回り5%を超えるプロジェクトも存在します。日本株に株式投資を行う場合の平均利回りは年間で5%程度といわれており、購入したら償還まで運用の手間がかからないのにもかかわらず利回りが高い商品もあることは、投資経験者にとっても魅力的でしょう。
参照:株式会社幻冬舎オンライン「初心者が「株式投資の運用利回り」をなかなか理解できないワケ」
ただし、プロジェクトが成功しないと元本割れのリスクがありますから、そのリスクを見極める必要があります。プロジェクトの見極めが難しいと感じる場合、リスクに関して説明するページやプラットフォーム上の過去の貸し倒れなどの履歴を確認しましょう。投資やそのリスクについて十分に理解し、自らの責任と判断で投資の判断をすることが重要です。また、複数のプロジェクトに分散投資をするとリスクを軽減することができます。
クラウドファンディングは、以下のような理由で投資経験を問わず、幅広い投資家層におすすめしたい投資商品です。
・比較的新しい投資商品ではあるものの、認知度が高まっている
・今後、参加者が増える見通しがある
・参入企業が増えることで、今後より魅力的なプロジェクトを応援することができる
・少額から投資できるプロジェクトもある
理念に共感できるプロジェクトや、求めるリターンに合うものを見つけたら、まずは試しにトライしてみてはいかがでしょうか。
Writer&Supervisor
執筆&監修者
勝目麻希
Maki Katsume
スマホで完結できる不動産クラウドファンディング「ヤマワケエステート」
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