用語解説

2024.06.28

今注目の融資型クラウドファンディング!知っておきたいメリットやリスクを徹底解説

 

融資型クラウドファンディングは銀行融資以外の新しい資金調達手段として、近年注目を集めているクラウドファンディングです。

 

企業にとっては資金調達手段として、そして、個人の投資家にとっては、資産運用・資産形成を行う新たな投資の手段として注目を集めています。インターネット上で少額から投資ができたり、比較的高い利回りが期待できるファンドもあるなど、クラウドファンディングの国内市場に占める割合が最も大きい種類のクラウドファンディングです(*1)。

 

ただし、他の投資商品と同様に投資家が出資した元本額に欠損が生じる可能性があるため、商品の仕組みを十分理解したうえで始める必要があります。

 

本記事では、融資型クラウドファンディングの仕組みや将来性のほか、メリットや注意点についても解説します。


(*1)参考:日本クラウドファンディング協会「クラウドファンディング市場調査報告書(2020年)」

融資型クラウドファンディングとは?

融資型クラウドファンディングとは、投資家が、 第二種金融商品取引業の登録を受けた融資型クラウドファンディング運営会社が運営するオンラインプラットフォームを介して借入人(資金需要者)に融資をする仕組みです。クラウドファンディング運営会社は、上記のプラットフォームにて、ファンド情報を広く公開し、募集・私募の取扱いを行います。

投資家(資金提供者)は借入人(資金需要者)に直接融資するのではなく、第二種金融商品取引業者を介して貸付人である貸金業者)と匿名組合契約(*2)を締結することで出資をします。貸付人(貸金業者)は、募集期間内に集めた出資金を借入人(資金需要者)に融資するというシステムです。

 

借入人(資金需要者)は、出資金を運用することで事業が成功した場合、貸付人(貸金業者)に元利金(元本+利息)を返済します。この元利金を原資に投資家へ、配当や元本が償還される仕組みです。分配金として、利息がリターンとなるところが融資型の大きな特徴といえるでしょう。

 

ちなみに、融資型クラウドファンディングは、ソーシャルレンディングとも呼ばれています。

 

(*2)匿名組合契約:投資ファンドにおいて投資家(匿名組合員)と事業者との2者間で結ばれる契約であり、ベンチャーファンドや不動産小口化商品への投資などにおいて結ばれている契約形態です。事業者が匿名組合員から集めた財産を運用して利益をあげた場合、利益を分配します。詳しくはこちら

融資型クラウドファンディングのメリット

融資型クラウドファンディングは、ベンチャーやスタートアップ企業など新しい事業を行う企業が利用しやす資金調達方法です。資金を調達したい企業お金を貸す投資家の双方にメリットがある点はクラウドファンディングの強みです。

 

ここからは、両者のメリットをそれぞれ紹介します。

資金調達をする企業側のメリット

・融資を受けやすい

 

事業者が資金調達をする場合、もっとも一般的な方法は金融機関からの融資でしょう。

 

銀行融資は融資を受ける際に審査があり、企業の財務状況、売上や取引実績といった評価項目が設けられています。そのためベンチャーやスタートアップなど業歴が浅かったり、実績も少ない場合などは銀行からの融資を利用するのが難しいケースが多々あります。

 

しかし、融資型クラウドファンディングでは、投資家から出資を受けた貸金業者が借入人の財務状況や事業リスクなどの信用力、資金使途等について審査をし、リスクに応じた融資条件(貸付金額、利率、返済方法、貸付機関など)で資金調達することができます。保守的な銀行の審査に対して、プロジェクトに特化した融資のため、ベンチャーやスタートアップ等の企業には融資を受けやすい点はメリットといえるでしょう。

 

(※ただし、融資型クラウドファンディングでは、審査は貸金業者のみならず、プラットフォーマーの審査もあり厳重なチェック体制を持つ運営会社が多くあります)

 

・銀行に比べて、短い期間で資金調達ができる

 

銀行融資は審査に時間がかかるうえ、審査の結果融資を受けられなければ、それまでの時間が無駄になってしまいます。

 

融資型クラウドファンディングの審査は、銀行融資に比べて短い期間で資金調達が可能な点が特徴です。インターネット上で、様々な投資家から小口資金を集めるため、募集期間内に滞りなくファンド募集金額が集まれば、短期間での資金調達を希望する企業にとって便利な資金調達手段といえるでしょう。

 

・PRの機会を創出、認知向上につながる可能性も

 

投資家は投資判断をするために、そのファンドを組成する企業や事業内容、提供している商品やサービスなどについて事前に詳しく調べるのが一般的です。融資型クラウドファンディングは、こうした調査のなかで自社サービスやブランドの認知向上につながるというメリットがあります。

 

ファンドページのインターネット上での反応から、本格的に市場で販売する前のテストマーケティングとしても活用でき、商品やサービスが魅力的なものであれば、投資家が将来的な顧客になることも期待できるでしょう。


お金を貸す投資家側のメリット

一方で、お金を貸す側の投資家にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここからはお金を貸す側のメリットをご紹介します。

 

・相対的に高い運用利回りが期待できる

 

融資型クラウドファンディングの利回りは案件ごとに異なりますが、ファンド運用が問題なく終了し、元本償還と分配金が問題なく支払われる場合の平均的な利回りは1〜5%といわれています。預貯金や国債といった金融商品よりも相対的に高い利回りが期待できます。

・まだ知られていないような新しい事業やサービスを知り、応援する機会がある

 

クラウドファンディングには、事業者が募集している事業を通じて、新しい事業やサービスを世の中に広めるという基本的な性質があります。

 

また投資には、自身の資産形成や資産運用のために行うものというイメージがありますが、投資家が出資したお金は資金需要者の事業に役立てられ、新たなサービスや商品を生み出すきっかけとなります。

 

融資型クラウドファンディングを通じて、社会貢献であるというインパクト投資の側面を見出すことができるでしょう。

 

・少額から投資ができる

 

融資型クラウドファンディングは、1万円からなど投資の中でも比較的少額から始められます。少額で投資ができることから、複数の案件に投資をすれば分散投資の効果が働き、投資のリスクを抑える効果も期待できるでしょう。

 

・運用の手間が少ない

 

一般的に融資型クラウドファンディングでは、資金需要者である借入人が、借りたお金をいつまで、どれくらいの金利をつけて返済するかを融資の際に決められます。

 

そのため、一度ファンドに投資をしたら、運用期間が終わり元本が償還されるまで、ほぼ待つだけです。株式やFX取引のように日々の値動きを心配する必要がありません。

 

融資型クラウドファンディングの魅力・将来性

株式会社矢野経済研究所「レンディングサービス市場に関する調査(2021年)」によると、国内ソーシャルレンディングサービス市場規模は2018年以降伸び続けており、同社は2024年度には約263億に達すると予測しています。

(2021年から2024年度は予測数値)

出典:株式会社矢野経済研究所「レンディングサービス市場に関する調査(2021年)」(2021年11月30日発表)

1. 事業者売上高ベース 2. 2021年度以降は予測値 3. ソーシャルレンディング、オンライン(AI)融資、スコアレンディングを対象として市場規模を算出した。

 

2024年より始まった新NISAの非課税投資期間が無制限になり、老後の上乗せ収入として配当金狙いの株式投資に関心が集まったこと、東京証券取引所が上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を求め、上場企業が株主への配当を重視し始めたことなどから、インカムゲイン狙いの投資に注目が集まっています。

 

インカムゲインとは、不動産投資の家賃収入・定期預金の利息・株式投資の配当金など資産を保有することで得られる利益のことです。融資型クラウドファンディングも、このインカムゲインを期待することができます。


資型クラウドファンディングのリスクと対策

融資型クラウドファンディングはリスクもあります。

ここからは投資家の主なリスクと対策を紹介します。

 

・途中解約ができない

 

融資型クラウドファンディングは融資期間が決まっており、途中解約ができません。貸出期間中(ファンド運用中)お金が必要になっても引き出すことはできないため注意が必要です。

 

融資期間が短い案件を選んだり、定期的に資金が戻ってくるように調整しながら、複数の案件に分散投資をすることでリスクは抑えられます。

 

運営会社が倒産するリスク

 

融資型クラウドファンディングは、クラウドファンディング運営会社が運営するプラットフォームを介して融資が行われます。そのため運営会社が倒産すると、約束した利息が支払われなかったり、元本が毀損したり、戻らないというリスクもゼロではありません。

 

投資をする前に、運営会社の情報開示や融資先の審査を十分行っているかなど、適切な情報開示をしているかどうかを確認しましょう。

 

・融資先が倒産するリスク

 

融資型クラウドファンディングの中には、高い利回りが提示されている案件もありますが、高い利回りの商品は、それだけ返済遅延やデフォルトのリスクが高いため注意が必要です。


まとめ

融資型クラウドファンディングは、企業や個人などの事業者は実績がなくても融資を受けやすく、利用することで自社の商品やサービスの知名度が向上するメリットがあります。また投資家にとっては、預貯金や国債といった金融商品よりも相対的に高い利回りが期待できる、少額から投資ができるなどのメリットがあります。

 

一方で、クラウドファンディングの運営会社や借入人(資金需要者)が倒産して貸し倒れによる損失が生じる可能性がある。途中解約ができないというリスクがあります。

 

様々な投資商品についての理解を深めて、融資型クラウドファンディングを分散投資の選択肢として検討してみるのも良いでしょう。

Writer&Supervisor

執筆&監修者

金子賢司

Kenji Kaneko

東証一部上場企業で10年間サラリーマンを務める中、金融に興味を持ち、資産運用やローンなどの勉強を始める。以降ファイナンシャルプランナーとして活動し、個人・法人のお金に関する相談、北海道のテレビ番組のコメンテーター、年間毎年約100件のセミナー講師なども務める。趣味はフィットネス。健康とお金、豊かなライフスタイルを実践・発信中。 <保有資格>CFP ®資格、TLC(生命保険協会認定FP)

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