用語解説
2025.06.06
REIT(リート)とは、不動産を取得・運用し、その収益を投資家に分配する金融商品です。
投資家から集めた資金をもとに、オフィスビルや商業施設、住宅などを取得・運用し、賃料収入や売却益を分配金として還元します。証券取引所に上場しているため、株式と同じように少額から投資でき、売買も容易です。
直接現物不動産を購入して投資する不動産投資は、多額の資金が必要で、管理や修繕、テナント対応といった手間も発生します。
一方、REITは不動産に投資するものの、実際に不動産を購入するのは投資法人であり、投資家は所有権を取得しません。そのため少額から始めることができ、運用会社が不動産を管理するため、投資家は手間をかけずに不動産収益を得られます。
また、不動産投資は売却に時間がかかることが多いですが、REITは株式のように取引所で売買できるため、現金化しやすい点も大きなメリットです。
例えば、マンション1棟を購入するには数千万円以上の資金が必要ですが、REITなら数万円から投資が可能です。そのため「不動産投資を始めたいが、大きな資金を用意するのが難しい」という人にとっても、魅力的な選択肢となります。
REITは1960年代にアメリカで誕生し、「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の頭文字を取って名付けられました。個人投資家でも不動産市場に参加できる、新たな手段として注目を集めました。
日本では2001年に「J-REIT(日本版REIT)」が導入され、不動産投資の選択肢として広まりました。景気や不動産価格の変動に対応しながら、安定した分配金を提供する点が、多くの投資家に支持されています。
例えば、東京のオフィスビルや商業施設を運用するJ-REITがあり、投資家はこれらの不動産の収益を分配金として受け取ることができます。こうした仕組みにより、一般の個人投資家でも手軽に不動産市場に参入できるようになりました。
REITには、日本国内の不動産に投資する国内REIT(J-REIT)と、海外の不動産に投資する海外REITの2種類があります。
日本国内の不動産に投資。
国内経済や不動産市場の動向を把握しやすいのが特徴です。情報収集が容易で、為替リスクがないため、初心者にも向いています。
アメリカ、シンガポール、ヨーロッパなど、海外の不動産に投資。成長が期待できる市場が多い一方、為替リスクや現地の政治・経済の影響を受けるため、慎重な判断が必要です。
REITの投資対象には、さまざまな種類の不動産があります。
代表的な不動産の特徴
それぞれの不動産タイプは、地域や景気の影響を受けるため、自分の投資目的に合った選択が重要です。
特定の不動産ジャンル(例:オフィス、住宅、商業施設など)に特化して投資するタイプです。専門性が高く、その分野に強みを持つ運用会社が管理しているため、安定した収益を狙いやすいです。
複数の不動産タイプに分散投資することで、リスク分散効果が期待できます。市場環境や経済状況の変化に対応しやすいため、投資初心者におすすめです。
自分のリスク許容度や運用目的に応じて、特化型と複合型のどちらを選ぶか検討しましょう。
REITは、少額から投資できる点や流動性の高さ、プロによる運用、安定した分配金など、多くのメリットを持つ投資商品です。特に、インフレ対策や長期的な資産形成に活用できる点が魅力といえます。
一方で、市場変動や金利上昇のリスクがあるため、定期的な情報収集とポートフォリオの見直しが重要です。リスクを理解し、国内外のREITや他の資産と組み合わせるなど分散投資を活用することで、安定したリターンを得ることが可能になります。
REIT投資を始めるには、証券口座の開設が必要です。ネット証券なら手数料が安く、取引ツールも充実しているため、初心者にも使いやすい環境が整っています。
どのREITに投資するかを決める必要があります。銘柄選びでは以下の3つのポイントを重視しましょう。
REITの大きな魅力は定期的な分配金です。以下の点をチェックしましょう。
REITは借入を活用して不動産を運用するため、財務状況の確認が重要です。
REITのパフォーマンスは 運用会社の実力に大きく左右されます。
REITは数万円程度の少額から投資可能で、初心者でも始めやすい投資方法です。
初心者には分散投資をおすすめします。例えば、複数のREITを組み合わせることで、リスクを抑えながら運用できます。
また、ドルコスト平均法(毎月一定額を積み立てる方法)を活用すれば、価格変動のリスクを分散しながら長期的な資産形成が可能です。
まずは自分の資金計画を立て、無理のない範囲で投資を始めましょう。
一つの銘柄に集中投資するのではなく、複数のREITに分散して投資することで、特定の地域や物件タイプに依存しない安定運用が可能になります。
分散投資の例
・オフィスREIT + 住宅REIT → 賃貸市場の変動リスクを抑えられる。
・ 国内REIT + 海外REIT → 日本経済の影響を受けにくくする。
・ 商業施設REIT + 物流施設REIT → 景気に左右される部分を補完できる。
まずは自分に合ったポートフォリオを作成し、リスクを抑えながら運用を始めましょう。
比較項目 | REIT(不動産投資信託) | 不動産(直接投資) |
---|---|---|
初期投資 | 数万円から可能 | 数千万円以上が必要 |
流動性 | 高い(証券取引所で売買) | 低い(買い手が必要) |
管理の手間 | 不要(運用会社が対応) | 自分で管理・修繕が必要 |
REITは少額・手間なしで始められるため、初心者にもおすすめ。
REIT | 株式 | |
収益源 | 不動産の賃料・売却益 | 企業の業績・配当 |
値動き | 比較的安定 | 変動が大きくリスクも高い |
リターン | 安定した分配金が魅力 | 高リスク・高リターンの可能性あり |
REITは安定志向、株式は成長志向の投資に向いています。
REIT | 債券 | |
リターン | 比較的高い(分配金) | 低め(利息収入) |
リスク | 市場・金利の影響あり | 低リスク・安定収益 |
金利の影響 | 金利上昇で価格下落の可能性 | 同様に価格に影響あり |
REITは、不動産投資の特徴を活かしながら、株式のように売買が可能で、少額から投資できる点が魅力です。
ただし、REITも市場の変動や金利の影響を受けるため、投資目的やリスク許容度に応じて、他の資産と組み合わせながら運用することが重要です。
REIT | 不動産 | 株式 | 債券 | |
投資額 | 少額 | 高額 | 少額 | 少額 |
流動性 | 高い | 低い | 高い | 低~中 |
運用の手間 | なし(専門会社が管理) | あり(修繕・管理必要) | なし | なし |
リスク | 中(市場価格変動・金利影響) | 高(空室リスク・資金拘束) | 高(市場・企業業績変動) | 低(元本保証に近い) |
収益の源泉 | 賃貸収入・売却益 | 賃貸収入・売却益 | 企業利益・配当 | 利息収入 |
収益の安定性 | 中~高(安定した分配金) | 中(賃貸状況による) | 低~中(変動大) | 高(一定の利息収入) |
REITの分配金には約20%の税金がかかります。しかし、NISAやiDeCoを活用すれば、一定の条件下で非課税メリットを得ることができます。
・NISA(少額投資非課税制度)
NISA口座で投資すると、一定額までの分配金や売却益が非課税になります。通常、投資で得た分配金には約20%の税金がかかりますが、NISAを活用すれば、その分の利益をそのまま受け取れます。
・ iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoを利用すると、毎月の掛金が全額所得控除の対象となり、節税効果が期待できます。さらに、運用益も非課税で再投資できるため、長期的に大きなメリットがあります。ただし、60歳まで引き出せない点には注意が必要です。
自分のライフプランや投資目的に合わせて、税制優遇制度を上手に活用しましょう。
REITの分配金や売却益は、証券会社の特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、通常は確定申告の必要はありません。
ただし、以下の場合は確定申告が必要になるため、注意が必要です。
・他の投資と損益通算をする場合
例えば、株式の売却損とREITの分配金を相殺する場合、確定申告をすれば、税負担を抑えられます。
・ 経費計上が必要な場合
投資の勉強や取引にかかる費用を経費として計上する場合も、確定申告が必要になります。
投資を継続する上で、税務面の管理も重要です。自分の投資状況を把握し、適切な対応を心がけましょう。
REITは長期投資に向いた資産ですが、市場環境によって収益性が変動するため、定期的な情報収集が欠かせません。以下のポイントを確認しながら運用しましょう。
・ 決算短信や運用報告書をチェック
REITの収益状況や財務健全性を確認し、安定した配当が期待できるか判断します。
※決算短信とは、企業の決算発表の内容をまとめた公式資料のこと
・ 市場動向や経済状況をチェック
不動産市場は景気や金利の影響を受けやすいため、ニュースや金融政策の発表を定期的に確認し、影響を予測しましょう。
・ ポートフォリオの見直し
REITの種類(オフィス系・住宅系・商業施設系など)や投資割合を確認し、市場環境に合わせて投資先を調整しましょう。
正しい情報をもとに計画的な運用を続けることが、REIT投資の成功につながります。
REITは 分散投資や長期運用に適した金融商品であり、安定した収益を目指せる魅力があります。初めての不動産投資として、また資産形成の一環として活用することで、リスクを抑えながら堅実に運用することが可能です。
これから資産運用を始める方は、ぜひREIT投資をポートフォリオに組み込んでみてはいかがでしょうか。
本コンテンツは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものです。投資家は投資商品ごとのリスクを十分理解したうえで、投資について調査・検討し、自らの責任の下で投資を行うようお願いします。掲載されている情報を基に損害を被った場合でも、運営会社及び情報発信元は一切の責任を負いません。本コンテンツに掲載される情報は、弊社が信頼できると判断した情報源を元に作成していますが、その情報の確実性を保証したものではありません。なお、本コンテンツの記載内容は予告なしに変更することがあります。
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