用語解説

2024.02.06

ソシアルビルとは?投資対象としての収益性と注意点を解説

 

ソシアルビルへの投資は、居住用のビルへの投資よりも収益性が高いと言われることがありますが、物件を購入した後でもテナント選びからビル管理まで様々な課題があります。

 

この記事ではソシアルビルの収益性と課題、投資で成功するためのポイントについて解説します。ソシアルビル投資に関心がある人はぜひご一読ください。

 

ソシアルビルとは

ソシアルビルは雑居ビルの一種で、飲食店やバーなど多種多様なテナントが共存している建物を指しますが、とくに、水商売や風俗関連の店舗が集まるビルに対して使われることが多いです。その代表例として、バブル時代の「丸源ビル」が挙げられます。

 

「丸源ビル」は、全国の一等地に多数存在し、日本の実業界を牽引した川本源司郎氏が所有していた複合施設です。彼は総資産1,000億円を超える日本の資産家の一人として、その一生をかけて全国の繁華街にスナック・バー・クラブなどの水商売・風俗関係の店舗が多く入居するソシアルビルを築き上げました。バブル時代には銀座、赤坂、六本木、福岡の中洲、熱海などに計60棟ほどのソシアルビルを所有、丸源ビルは人気を博し約6,000ものテナントが入居するなどその名を轟かせたのです。

 

ただし、ソシアルビルへの投資は一見魅力的なビジネスモデルに見えますが、不動産投資の中でも運営管理の難しさが課題となります。それでも、居住用のビルに比べて収益性が高いという声も業界内からは聞こえるなど、一部の投資家には魅力的であると評価されているようです。

 

銀座の歓楽街エリアにはソシアルビルが並ぶ。奥には緑のネオンサインが特徴的な丸源ビルも。

 

ソシアルビルの運営管理が難しい理由

ソシアルビルは雑居ビルで多くのテナントが入居するため、テナントの選定は極めて重要です。たとえば、個人信用情報の確認や直接面談を通じて個々のテナントの入居者像・事業内容を把握し、慎重に入居審査を行う必要があります。

 

また、テナントの営業は水商売・風俗店が中心で、営業時間は主に夕方から夜間に集中するため、水漏れなどの突発的な設備故障や不具合への対応がしばしば深夜に求められます。これにより、緊急性の高いトラブルが発生すれば、ビルオーナーもしくは管理会社は深夜にも対応しなければいけません。

 

さらに、テナントが退去した際には原則として借主負担で原状回復工事が行われるケースが多くあります。しかし、借主が無資力だった場合には、オーナーが相応の費用を負担することとなる可能性がある点はリスクとなりますし、新たなテナントを探して空きスペースを埋める作業も必要となります。

 

これらの要素を考えると、ソシアルビルの運営は、一般的なビル管理よりも手間がかかるといえるでしょう。しかし、これらの課題を適切に管理できれば、ソシアルビルは居住用のビルに比べて、高い利益をもたらす可能性がある点が魅力です。

 

不動産投資には主に居住用とテナント用がある

不動産投資の対象は、主に居住用とテナント用物件に分かれます。事務所や店舗などテナントを対象にした不動産投資はプロ向けであり、初心者には向いていません。ただ、テナント用物件はリスクが高くなる分、リターンも高くなります。

 

テナント物件の投資対象としては、主に以下の3つがあります。

 

・ 一棟オフィスビル

全体がオフィスの物件です。一つのテナントがビル全体や複数フロアを借りていたり、店舗と混在していたりすることがあります。また1フロア1テナントの小規模オフィスビルから、「〇〇ヒルズ」といったランドマーク性の高い大規模オフィスもあります。

 

・ ソシアルビル

ソシアルビルにはバーやスナックなどの小規模な飲食店が入居しています。風俗関連の店舗もテナントとして存在することがありますが、ごく一部を除きほとんどの金融機関では融資に応じてくれません。ソシアルビルへの融資付けは居住用物件と比べて格段に難しく、不動産投資としてはハイリスク・ハイリターンの傾向が見られます。

 

・ 一棟商業店舗ビル

駅前などにある店舗ビルです。ファッション系や物販を行う店舗とともに、カフェやドラッグストア、飲食店、カラオケ店などが一棟の各フロアに複数入っています。

 

ソシアルビルなどテナントビル投資のメリット

ソシアルビルなどのテナントビル投資は、さまざまな不動産投資の種類の中でも高い収益性が期待されます。ここでは、テナントビル投資のメリットについて解説します。

 

・立地が良いと借主を見つけやすい

駅前や幹線道路沿いの立地条件が素晴らしいテナントビルは、潜在的な入居希望者が多くすぐに借り手が見つかります。

 

・賃料が高い

需要の高い立地にあるテナントビルは、居住用物件よりも高い賃料を設定することが可能です。

 

・建設コストが低い

テナントビルは内装がスケルトン状態(何もない状態)で引き渡されるため、最低限必要な内装工事のみ行い建設コストを抑えることができます。

 

・入退去時のリフォームが不要

テナントが入居もしくは退去する時、借主負担で内装工事を行うので、貸主側でリフォームの必要がありません。

 

・保証金による資金繰りの安定

テナントビルの保証金は、事業用物件を契約する際、借主が貸主に預け入れる費用であり、主に以下の目的で使われます。

 

 ① 賃料の未払い対策

退去時には保証金が返還されるのが基本ですが、賃料の滞納や契約時に定められた償却費として、保証金の返還分から一部差し引かれる場合があります。つまり、保証金は賃料の支払いが滞った場合に、補てんする役割を果たします。


 ② 原状回復工事費用

借主が退去時に原状回復義務を果たせない場合にも、保証金から工事費用が充当され残りの金額が返還されます。保証金の具体的な相場や返還条件は物件や地域により異なるため、賃貸借契約を締結する前に詳細を把握することが大切です。

 

テナントビルの保証金は一般的に高めに設定されており、通常、オフィス用で3~12ヶ月、飲食店の店舗用でも6〜24ヶ月と、金額では数百万円単位が賃貸借契約時の保証金として必要になります。

 

オーナーの立場としては、償却された保証金は返還不要ですので、資金繰りを安定させる効果も期待できます。

 

・テナントが長期入居する可能性が高い

テナントビルの借主は、居抜き物件を選ばない限り内装工事に多額の費用をかけています。立地条件に恵まれ経営が順調のテナントであれば、わざわざ現在の場所から移転するケースは少ないものと思われます。


これらの要素がテナントビル投資で高収益を得るためのメリットです。ただし、これらのメリットを最大限に活用するには、適切な物件選定と運営管理が必須となります。

 

収益性が高い評判のわりに、ソシアルビルを買えない理由とは

ソシアルビル投資は高い収益性が見込まれるという評判がある一方で、購入へのハードル、リスクも存在します。ソシアルビルを購入しにくい、主な理由について解説します。

 

・テナント退去のリスク

一度テナントが退去すれば、その空間を新たに埋めるための新規テナントを探す必要性が生じます。これは、大きな専有面積を持つテナントが退去した場合、賃料収入が一気に減少するリスクを伴います。

 

・賃料設定が困難

ソシアルビルは、立地条件によっては比較対象が少なく、適切な賃料を設定するのが容易ではありません。ソシアルビルは、場所にもよりますが、繁華街の中に位置する飲食店やクラブ、バー、風俗店などが入居するビルであり、その特性上、同じような条件の物件が少ないため、賃料の相場を把握するのが難しくなります。

 

・金融機関による低評価

ソシアルビルに風俗店等の特定のテナントが入居していると、金融機関からの評価は低くなり、融資を受けることが困難になる場合があります。金融機関などから融資を受けられない場合には、自己資金での物件購入が前提となります。

 

・臭いや油煙問題

飲食店がテナントとして入居すると、食べ物や香辛料の臭い、油煙により建物の外壁や内装、共有部が汚れやすくなります。

 

・トラブル時の迅速対応が必要

テナントの特性を考えると、居住用や事務所用の物件と比べ、換気や水道のトラブルが起こりやすいといえます。また、停電や空調設備、エレベーター、エスカレーターの故障には即時対応が求められます。

 

・電気・水道料金負担

ソシアルビルの運営では、水道光熱費をオーナー負担とする賃貸借契約が多く、エアコンなどの稼働時間も長くなりがちです。店舗の運営形態によっては電気・水道料金に関わる負担費用が高額になることが予想されます。とくに、夜間営業のテナントが多いと電気代が上昇する可能性があります。そのため、ソシアルビルのオーナーには、これらのコストを見越し、適度な賃料設定が求められるのです。

 

これらの課題を克服できるかどうかが、ソシアルビル投資の成功を左右します。それらを適切に管理できれば、ソシアルビルは高い利益をもたらす可能性があります。

 

地方の駅前が再開発できない理由

地方の駅前再開発が難航する原因とソシアルビルの影響について解説します。

 

・人口減と高齢化

現在の日本は、地方都市を中心に人口減と高齢化が急速に進行しており、このことが地方都市の駅前再開発では大きな障壁となっています。人口が落ち込むと、商業施設やソシアルビルへの需要も下がり、再開発プロジェクトの経済的実現可能性が危ぶまれます。


・既存の商店街との競合

駅前再開発で新しく生まれる商業施設やソシアルビルが、既存の商店街や商業地域と競合する場合があります。その結果、既存の商店街の活性化が妨げられ、地域住民の反発を招く可能性があります。


・地権者とテナントの意識のズレ

地権者とテナントの間に意識のズレがあると、再開発プロジェクトの進行が困難になることがあります。とくにソシアルビルでは、多くのテナントが飲食店、水商売や風俗店として入居することとなり、テナントの選択や管理が難しく、地域によっては地権者とテナントの間で調整が困難になるなどの問題が生じる可能性があります。

 

これらの要素が地方の駅前再開発とソシアルビルの関係に大きな影響を及ぼしている可能性が高いでしょう。しかし、これらの問題を適切に管理すれば、地方の駅前再開発が地域の活性化に寄与する可能性があります。

 

まとめ

ソシアルビルは多種多様なテナントが共存するビルで、とくに水商売や風俗関連の店舗が集まるビルとして知られています。

 

上記にあげたテナントビル投資のメリットの条件下では、収益性が高い面が一部の投資家に注目されていますが、テナント選びからビル管理まで、様々な課題が存在します。

 

ソシアルビル投資で成功するためには、これらの課題を理解し、適切な戦略を立てることが重要です。

 

Supervisor

監修者

水野 崇

Mizuno Takashi

1972年、群馬県太田市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒業後、東京エレクトロン株式会社に営業職として就職。信念を貫き自らの人生を切り開いていくことを決意し、2003年、30歳で早期退職。個人投資家(株式専業トレーダー)に転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。
法人経営に携わり複数事業のスタートアップに参画、スモールM&Aを経験。豊富な投資実績を評価され、証券会社等からセミナー講師・金融記事執筆・投資ファンド設立のビジネス提案を受ける。ライティング実績は10年以上あり、大手金融機関など月20本の執筆・監修案件を現在担当。
一人でも多くの方の金融リテラシー向上を支援したいと感じ、2018年12月にCFP資格の全6課目一括と宅地建物取引士資格を同時合格。独立系ファイナンシャルプランナーとしてライフプラン、資産運用、不動産、相続・資産承継など、年間100名以上の個別相談に対応。
日本FP協会「2021年FP広報センター」スタッフ業務に携わり、全国1000名を超える方から寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。大学や事業法人で講師を務め年80回登壇。学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義(2023年度は180コマ)を毎週行っている。

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