マネー&ビジネス

2024.08.01

資産運用の新常識!少額から始められるオルタナティブ投資「クラウドファンディング」のススメ

オルタナティブ投資とは、伝統的な上場株式や債券以外の資産に投資する方法で、不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、インフラ、コモディティ、クラウドファンディングなどがあります。

 

本記事では、オルタナティブ投資の概要や種類、特にクラウドファンディングの魅力について詳しく解説します。また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のオルタナティブ投資戦略にも触れ、個人投資家がポートフォリオの分散を図る上でオルタナティブ投資が重要である理由を説明します。

 

オルタナティブ投資とは

オルタナティブ投資とは、上場株式や債券といった伝統的な投資手段以外の資産に投資する方法です。

 

具体的には、不動産、プライベートエクイティ(未公開株式)、ヘッジファンド、インフラ投資、コモディティ(商品)、クラウドファンディングなどがあります。オルタナティブ投資の主な目的は、ポートフォリオ(投資家が保有する金融資産の組み合わせ)の分散効果を高めることにより、リスクを効果的に分散することです。後ほど、それぞれ詳しく説明しますが、従来の株式や債券と異なるリスク・リターンの特性を持つ資産を組み入れることで、全体のポートフォリオのリスクを低減しつつ、リターンの安定性を向上させることが可能になります。

 

オルタナティブ投資は、従来の金融市場とは異なる値動きをするため、市場の変動に対する耐性を強化する役割も果たします。特に、市場のボラティリティ(変動率)が高い時期には、オルタナティブ投資は安定した収益を提供する可能性があります。

市場のボラティリティが高まる時期とは、経済の不確実性や政治的な動揺、金融市場の調整期などを指します。例えば、経済危機やリセッション時、金利の急激な変動、地政学的リスクの高まり、または自然災害などが発生した際には市場の不安定さが増し、伝統的な資産クラスの価格が大きく変動することがあります。

 

このような時期にオルタナティブ投資が相対的に安定した収益を提供する理由は、これらの投資が伝統的な市場の動向と相関しにくい特性を持っているためといわれています。

 

投資家にとって、これらの投資手段は、リスクとリターンのバランスを最適化するための重要な選択肢となるでしょう。

 

ポートフォリオにオルタナティブ投資を組み込むことで、長期的な資産運用の安定性を高めることができるため、投資戦略の多様化を図る上で不可欠といえるでしょう。

 

オルタナティブ投資の種類

オルタナティブ投資の代表的な種類と戦略を紹介します。

 

不動産投資

不動産投資は、住宅、商業施設、オフィスビルなどの不動産物件に対する投資です。

投資家はこれらの不動産物件を購入し、家賃収入や物件の価値上昇を期待して運用します。不動産投資の魅力は、安定したキャッシュフローと資産価値の増加による利益が期待できることです。家賃収入は毎月の収入源となり、物件の市場価値が上昇すれば売却時にキャピタルゲインを得ることができます。また、不動産は物理的な資産であり、インフレに対するヘッジ効果も期待できます。

 

不動産の価値はインフレとともに上昇する傾向があり、また、賃料収入もインフレに応じて増加することが多いため、インフレ時に資産価値を維持または向上させる手段となります。これは、貨幣の購買力が低下する局面において、実物資産である不動産が相対的に価値を保ちやすいためです。したがって、投資ポートフォリオに不動産を含めることは、インフレリスクに対する有効な防御策(インフレヘッジ)となります。

 

 プライベートエクイティ

プライベートエクイティは、公開されていない企業、つまり未上場企業に対する投資です。この投資手法は、企業の成長を支援し、その企業価値が上昇した段階で売却や上場を通じて利益を得ることを目的としています。

 

プライベートエクイティの投資家は、企業の経営に積極的に関与し、経営改善や成長戦略を実行することで企業価値を高めます。これにより、投資家は高いリターンを期待できますが、その分リスクも高くなります。企業の成長過程における不確実性や市場環境の変化により、投資の成果が左右されるため、投資先の選定と経営支援が成功の鍵です。

 

ヘッジファンド

ヘッジファンドは、幅広い投資戦略を駆使してリスクを管理しつつ高いリターンを追求する投資ファンドです。ヘッジファンドは株式や債券だけでなく、デリバティブ(金融派生商品)や通貨、コモディティ(商品)など多様な資産クラスに投資します。

 

ヘッジファンドの特徴は、空売りやレバレッジ(てこの原理)の活用により、市場の上昇局面だけでなく下落局面でも利益を狙える点です。高いリターンを追求する一方で、リスク管理も重視されており、ポートフォリオの分散やヘッジ手法を用いて投資の安定性を確保します。しかし、高い手数料や最低投資額の高さから、一般の個人投資家にはアクセスが難しい場合が多いです。

 

インフラ投資

インフラ投資は、道路、橋、空港、エネルギー施設などのインフラストラクチャー(産業基盤になる施設)に対する投資です。これらのインフラ施設は、長期間にわたって安定した収益をもたらすことが期待できます。インフラ投資の魅力は、公共性が高く、需要が安定している点にあります。例えば、電力や水道といった基本的なインフラサービスは、経済状況にかかわらず一定の需要が見込まれるため、投資家にとって安定した収益源です。さらに、政府や自治体からの支援や保証がある場合も多く、投資のリスクが軽減されます。

 

コモディティ投資

コモディティ投資は、金、銀、石油、小麦、コーヒーなどの原材料や商品の価格変動に投資する方法です。コモディティは、供給と需要のバランスに影響されやすく、価格の変動が大きいことが特徴です。

 

また、コモディティ投資はインフレヘッジとしての効果が期待できます。特に、金は「有事の金」として知られ、金融市場の不安定時やインフレが進行している時に価値が上昇する傾向があります。また、石油や天然ガスなどのエネルギー資源は、産業活動の基盤を支える重要な資産であり、経済の動向に応じて価格が変動します。

 

(投資型)クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の小口投資家から資金を集めてプロジェクトやビジネスを実現する方法です。クラウドファンディングは、誰でも簡単に資金を集められる仕組みで、資金を持たないスタートアップ企業や個人でも、アイデアやプロジェクトを実現できるようになりました。

 

クラウドファンディングには、寄付型、購入型、融資型、株式投資型や不動産型など様々な種類があります(*1)。寄付型は、社会貢献や文化活動などのために資金を募り、リターン型は支援者に製品やサービスを提供します。融資型は、支援者が融資を行い、一定の利息を得ることができます。株式投資型は、支援者が未上場株式や利益分配を受け取る形式です。

 

これらのオルタナティブ投資は、投資家に多様な選択肢を提供し、ポートフォリオの分散効果を高めることで、リスク管理とリターンの最大化を図ることができます。

 

(*1)本記事における「クラウドファンディング」は、主にリターンを期待することができる投資型のクラウドファンディンについて言及します。

 

オルタナティブ投資でクラウドファンディングがおすすめの理由

 

オルタナティブ投資の一環としてクラウドファンディングを活用することには、多くの利点があります。まず、クラウドファンディングは投資の多様化を実現するための効果的な手段です。伝統的な上場株式や債券に加えて、クラウドファンディングをポートフォリオに組み込むことで、リスクを分散し、市場の変動に対する耐性を強化できることが期待されます。

 

さらに、クラウドファンディングは1万円や10万円からなどの低額で始められるという点も魅力です。多くのクラウドファンディングプラットフォームでは、小口投資が可能であり、少額の資金からでも投資を始めることができます。これにより、資金が限られている個人投資家でも、パソコンやスマートフォンで気軽に参加できるのが大きな特徴です。

 

また、クラウドファンディングは多くの投資機会を提供します。特に、不動産クラウドファンディングは、従来の不動産投資に比べて少額で始められるため、人気があります。多様な不動産プロジェクトに分散投資することが可能で、リスクを軽減しつつ収益を追求できます。

 

たとえば、ヤマワケエステートでは、投資家が手軽に不動産投資に参加できるよう、1万円からの少額投資が可能です。(※1万円でない場合もあります)

 

出典:ヤマワケエステート

 

ヤマワケエステートは投資初心者でも始めやすい点が魅力であり、投資家は物件探しや維持管理コストなどを気にすることなく運用を任せることができます

リターンを期待することができる投資型のクラウドファンディングは、透明性も重要なポイントです。多くのプラットフォームでは、プロジェクトの詳細情報やリスクに関する情報を公開しており、投資家は十分な情報を基に投資判断を行うことができます。これにより、投資のリスクを適切に評価し、賢明な投資決定を行うことが可能になるのです。

 

投資型のクラウドファンディングは社会的なインパクトも持っています。多くのプロジェクトは、地域社会の発展や環境保護、新しい技術やサービスの創出を目指しており、投資家は自分の投資が社会に貢献していることを実感できます。これにより、投資家は単なる金銭的なリターン以上の価値を享受できます。

 

最後に、投資型のクラウドファンディングは、新しいネットワークの構築やビジネスモデルへの理解を深める機会も提供します。多くのプロジェクトは、投資家とのコミュニケーションを重視しており、定期的な報告やイベントを通じて投資家との関係を強化しています。これにより、投資家は最新のビジネス動向や市場のトレンドを把握することができます。

 

以上の理由から、クラウドファンディングはオルタナティブ投資として非常に魅力的な選択肢となっています。

 

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のオルタナティブ投資戦略

出典:GPIF

 

公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、年金積立金を効率的に運用するためにオルタナティブ投資を積極的に活用しています。GPIFの運用方針は、年金積立金を長期的に安定した収益を生むように配分することであり、その一環として、伝統的な上場株式や債券に加えて、不動産、プライベートエクイティ、インフラなどのオルタナティブ投資を取り入れ、分散投資を行っています。これにより、リスクの分散を図り、安定したリターンを目指すことができます。

 

2020年度から始まったGPIFの第4期中期計画では、資産全体の5%を上限に、インフラストラクチャー、プライベートエクイティ、不動産などのオルタナティブ資産の運用を行うこととされています。オルタナティブ資産は個別性が強く、流動性が低いため、投資評価時及び投資実行後のリスク管理が重要な課題です。GPIFはリスク管理を含めた運用体制の強化に取り組んでいます。

 

出典:GPIF

 

まとめ

株式市場や債券市場が不安定な相場になっていても、オルタナティブ資産でリターンを狙える可能性があります。市場の価格変動に左右されずに投資できるという点もオルタナティブ投資の魅力です。

 

オルタナティブ投資は、個人投資家のポートフォリオの分散効果を高め、リスク要因に対する耐性を強化する有効な手段です。上場株式や債券だけでなく、不動産やプライベートエクイティ、ヘッジファンドなどへの投資は、長期的な資産形成にも寄与します。特に、クラウドファンディングは投資機会を広げ、個人投資家の参加を促進することで、資金調達の多様化と新しいビジネスやプロジェクトの推進に貢献しています。また、市場の変動性が高まる中で、従来の株式や債券に頼るだけではリスク管理が難しく、多様な投資手段が求められています。

 

より高いリターンを求める投資家にとって、プライベートエクイティや不動産、インフラストラクチャーなどのオルタナティブ投資は魅力的な選択肢となります。オルタナティブ投資の重要性は今後も高まっていくでしょう。

 

Q&A

 Q1: オルタナティブ投資とは何ですか?

オルタナティブ投資は、伝統的な上場株式や債券以外の資産クラスに投資する方法を指します。これには不動産、プライベートエクイティ、ヘッジファンド、インフラ、コモディティ、クラウドファンディングなどが含まれます。

 

Q2: クラウドファンディングのメリットは何ですか?

クラウドファンディングのメリットは、多くの人々から少額の資金を集めることができる点です。これにより、資金調達が容易になり、プロジェクトの実現が促進されます。また、小口投資家も参加しやすくなります。

 

Q3: GPIFはどのようにオルタナティブ投資を活用していますか?

GPIFは、年金積立金を効率的に運用するためにオルタナティブ投資を積極的に活用。リスクの分散を図り、安定したリターンを目指しています。

 

 Q4: 個人投資家にとってオルタナティブ投資はなぜ重要ですか?

個人投資家にとって、オルタナティブ投資はポートフォリオの分散効果を高める重要な手段です。オルタナティブ投資によって異なるリスク要因に対する耐性を持つことができ、長期的な資産形成に寄与します。

 

Q5: オルタナティブ投資の将来性はどうですか?

オルタナティブ投資の将来性は明るいとされています。特にクラウドファンディングは、投資機会を広げ、多くの個人投資家が参加できるようにするための重要な役割を果たすでしょう。

 

以上が、オルタナティブ投資とクラウドファンディングについての詳細な説明です。オルタナティブ投資の理解を深め、ポートフォリオの分散効果を高めるために、ぜひ参考にしてください。

Writer&Supervisor

執筆&監修者

山下 耕太郎

Koutarou Yamashita

一橋大学経済学部卒業後、証券会社で営業、マーケットアナリスト、先物ディーラーを経て個人投資家/金融ライターに転身。ライター歴6年、投資歴20年以上。保有資格は証券外務員一種。マーケットアナリスト時代は、日経CNBCに出演。そして、ディーラー時代は主に日経225先物・オプションを取引。現在は個人投資家として株式、先物、FX、CFDなどを取引している。また、金融ライターとして、上場企業、金融機関などで年間300本以上の記事を執筆・監修している。

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