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2024.03.19

老後資金の不安は計画的な資産運用で解消! 有効活用できる金融商品や新NISA制度も紹介

近年、国内では平均寿命が伸び「人生100年時代」といわれています。毎年厚生労働省が発表する「簡易生命表」によると、令和4年における平均寿命は下記のとおりです。

 

性別 平均寿命
男性 81.05(前年より-0.42歳
女性 87.09(前年より-0.49歳

                      出典:厚生労働省「令和4年 簡易生命表」

 

同調査は毎年実施されており、前年の平均寿命をやや下回ったものの、長生きする方が増える傾向にあります。しかし、老後資金の不足問題が話題になるように、どれだけ健康で長生きできたとしても、収入と支出のバランスが取れず毎月の生活資金が足りなければ、余裕のない生活で辛さを感じることでしょう。寿命が伸びている時代だからこそ、私たちは老後に必要となる資金を早めに準備する必要があります。

 

今回は、老後の資金準備として有効活用できる投資」を紹介します。

 

投資未経験の方にもわかりやすく解説しますのでご安心ください。早めに備えをスタートして豊かな老後を目指しましょう。

老後資金の不安はどこからくる?

老後資金を準備するにあたり、まずは必要な金額を考えましょう。

 

ここでは老後生活における毎月の支出老後資金が必要な年数について解説します。

老後の生活費は毎月20万円以上

(公財)生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦二人で老後の生活を送るにあたって必要だと考えられる金額は、平均して毎月23.2万円という結果になりました。また、同調査では「ゆとりある老後生活を送るためにはどれくらいの金額がプラスで必要か」という問いに対しては、平均して毎月14.8万円が必要とのデータが報告されました。この結果から、最低でも約23万円、ゆとりを保つ場合は約38万円の生活資金が必要になると予想されています。

男性の4人に1人、女性の2人に1人は90歳まで生きる

老後の資金は最低でも毎月23万円程度用意したいものですが、生きる年数によって必要な金額が異なります。たとえば、70歳まで生きる人と100歳まで生きる人とでは老後の資金に大きく差が出ます。厚生労働省の令和4年 簡易生命表によると、2022年生まれの男女が90歳まで生きる割合を計算したところ、男性が25.5%、女性が49.8%となり、男性の4人に1人、女性の2人に1人が90歳まで生きると考えられています。

 

現在の平均寿命を参考に90歳まで生きるとすると、65歳で定年退職した後、老後生活は25年あると考えられます。その場合、25年(300ヶ月)×23万円=6,900万円のため、多くの資金を要します。実際は公的年金の受け取りがあるため満額を用意する必要はありませんが、それでもなお、老後資金の準備は多ければ多い方が安心できるでしょう。

100歳以上生きる人は25年前の約9

厚生労働省が令和5年に発表した「百歳高齢者表彰の詳細」の資料によると、令和5年9月1日時点で100歳以上の方は92,139人で前年から1,613人増えています。なお、平成10年に100歳以上の人口が1万人を超え、約25年間で9倍以上の人数になっています。

 

平均寿命は今後も高い状態で続くことから、老後資金への備えは欠かせないでしょう。しかし、一口に備えと言ってもその方法は「貯蓄」「投資」に分類できます。次からは資金準備に必要な用語を確認しましょう。

貯蓄と投資の違い

ここでは貯蓄と投資の違いを解説します。貯蓄とは、文字通りお金を貯めることを表し、銀行預金などが該当します。お金をいつでも自由に引き出せる「流動性の高さ」が貯蓄の特徴です。

 

一方、投資は中長期的な視点でお金を増やす方法を指します。銀行預金よりも「収益性の高い」金融商品である株式や投資信託などが代表的です。投資においては、将来の利益を見込んで長い期間をかけながら、少しずつお金を増やす計画を立てるという特徴があります。

 

以前は貯蓄を重視して老後資金を準備する方が多く見られましたが、近年は少子高齢化が進み労働人口が減少して年金の支える側が減ったことから、投資を使って自助努力で老後に備えることを国が支援しています。

 

その例としては、金融商品の運用益が一定額まで非課税になる新NISA(少額投資非課税制度)や、公的年金にプラスして給付が受けられる私的年金制度のiDeCo(個人型確定拠出年金)が挙げられます。

老後資金の準備に活用したい4種類の金融商品

ここからは投資について具体的な金融商品を4つ紹介します。今回は、広く知られている株式や債券、投資信託だけでなく、IT技術の進歩により新たに注目が集まる「投資型クラウドファンディング」もあわせて解説します。

1. 株式

上場株式は、証券取引所を通じて購入することができ、株式会社への出資の証明として発行される有価証券です。株式を購入すると、株式の値上がり益や配当金を受け取れる特徴があります。また、近年は一定株数以上を保有する株主に、自社のサービス券や商品を送付する「株主優待」にも注目が集まっています。株式の特徴としては、企業の成長とともに高い収益性が期待できるものの、市場全体や景気の動向、企業の倒産や経営不振などによる値下がりなどのリスクがあります。個別銘柄へ株式投資を行う場合には一定の知識が求められます。

2. 債券

債券国や企業などがお金を借りる時に発行される有価証券です。例えば国債の場合は満期が定められており、定期的に利子を受け取りながら期日を迎えると額面金額が戻ります。満期日まで保有すると元本または額面金額を受け取ることができるため、株式や一般企業の発行する債券より安全性は高いでしょう。しかし、途中での売却は元本割れとなる可能性があり、国が発行する債券であってもデフォルト(債務不履行)リスクがある点にも注意しましょう。実際にギリシャ財政危機などの前例もあります。

3. 投資信託

投資信託は投資家から集めたお金を、専門家が株式、債券、不動産など様々な投資商品に分散して投資を行い、その運用成果が投資家に還元される仕組みの商品です。少額から始められますので、一般的に投資への知見がない場合は投資信託からのスタートが良いでしょう。投資先の分散が容易で長期の積立投資に向いており、預金よりも高い収益性が期待できるというメリットがある反面、元本保証されない点に注意しましょう。

4. 投資型クラウドファンディング

多様な投資商品のなかでも、インターネットを通じて少額から投資ができるなど、近年注目が集まるクラウドファンディングも老後資金の準備に活用できます。クラウドファンディングといっても下記の6つに分類できます。

 

クラウドファンディングの種類

 

非投資型クラウドファンディング

・購入型

商品やプロジェクトについて資金を募る。リターンとして商品・サービスがある。

 

・寄付型

プロジェクトに対して見返りを求めない寄付として参加する。

 

投資型クラウドファンディング

・融資型

投資家から小口資金(少額)を集めて融資を求める企業に行う。リターンとしては利息がある。

 

・株式投資型

非上場企業が株式を発行して多数の投資家から資金を集める。将来的に配当金を受け取れる。

 

・ファンド型

事業者に直接投資を行い、事業を継続させられる。事業者は投資が元で得られた利益をリターンとして支援者に分配する。

 

・不動産型

クラウドファンディング事業者がオンラインで投資家を募り、不動産の運用を行い得られた利益を分配する。

 

購入型や寄付型のクラウドファンディングは自治体や企業が行っていることから認知度が高く、ご存じの方も多いでしょう。しかし、老後資金を蓄える場合は、インターネットを通じて少額投資することもでき、収益(リターン)を期待できる投資型クラウドファンディングの4種類が適していると言えるでしょう。

 

なお、クラウドファンディングについては下記の記事でも詳しく紹介しています。仕組みや活用方法を詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

クラウドファンディングとは?歴史や仕組み、活用方法まで徹底解説 | ヤマワケJOURNAL

金融資産の3つの性格

様々な金融資産を紹介してきましたが、それらを扱う場合は商品ごとの特性を把握することが大切です。ここでは金融資産が持つ「安全性」「流動性」「収益性」について解説します。投資をはじめる場合、各金融商品への理解を深め、リスクを把握したうえで取り組みましょう。

・安全性について

「安全性」は投資において元本が保証される度合いを指します。元本や利子の支払いが確実である商品ほど安全性が高いとされ、価格が相場変動に影響しにくい商品は、堅実に老後資金を準備したい方におすすめです。

・流動性について

金融資産における「流動性」は換金のしやすさを指します。自分が必要なタイミングで現金化できる、手数料がかからない、などは流動性が高い商品と言えるでしょう。老後資金を準備するために行う投資では、長期で時間を味方につけながら資産を殖やしますので、流動性は重視されません。

・収益性について

「収益性」は期待できる収益(リターン)の大きさをあらわします。金融商品の「リスク」とはリターンの振れ幅のことであり、高いリターンが期待できる商品は高いリスクを伴い、リスクを低く抑えるためにはリターンも低下します。つまり、ローリスク・ハイリターンの金融商品は存在せず、収益性が高い商品は安全性が低くなります。収益性の高い投資を行いたい場合は、生活に支障のない余裕資金で行うことを心がけましょう。

 

50代からの資産形成にもNISAを活用できる

老後資金はできる限り早めに備えたいものですが、教育資金や住宅費にお金がかかる世代はどうしても後回しになりがちです。しかし、子育てが一段落した50代から老後の備えを始めても十分間に合います。運用益が非課税で投資できる「NISA」はぜひとも活用したい制度です。ここからは2024年からスタートした新NISAについて、その特徴やメリットを解説します。

引用:金融庁「NISAとは?

運用益が非課税

NISAは少額投資非課税制度のことで、最大のメリットは投資の運用益が非課税になる点です。ここでいう運用益には、値上がりした後に売却して得た利益である「譲渡益」に加え、「配当金」や「分配金」が含まれます。なお、従来のNISA制度では非課税期間が決まっており、一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間でした。しかし、2024年からスタートした新NISAでは非課税保有期間が無期限化されました。年間投資枠も大きく引き上げられ、従来の120万円(一般NISA)から3倍の360万(つみたて投資枠と成長投資枠の合計)に増額されています。そのため、これまで以上に利用しやすい制度として、今まで興味を持たなかった方からも改めて注目されています。

 

NISA口座ではない一般口座で保有している株式や投資信託で得た運用益には、20.315%の税金がかかります。そのため、老後資金のために効率的にお金を殖やしたいとお考えであれば、NISAを積極的に活用してみましょう。

非課税枠の再利用が可能

NISAはいつでも運用途中で売却できます。そのため、急にまとまった出費が必要な場合も安心できるでしょう。従来のNISA制度(一般NISA、つみたてNISA)では売却部分については枠の再利用ができませんでした。それに対し、新NISAでは非課税枠の再利用が可能になったことで、生涯保有限度額1,800万円の非課税枠内で何度でも売買して再利用できます。途中売却した利益によって、教育資金、車の購入代、旅行資金など、より身近なライフイベントにも対応できる制度です。しかし、一般的に投資は長期で行うことが望ましいとされています。長期投資は短期投資と比べ値動きの振れ幅の影響が小さくなり、最終的に安定した収益を得られる可能性が高まります。

少額からはじめられ複利効果が活かせる

投資と聞くとどうしても「まとまったお金が必要では」と不安を感じ、最初の一歩が踏み出せない方も多いことでしょう。新NISAは少額からでも始めやすい投資環境が整えられており、証券会社によっては最低金額100円からでも投資信託を購入できます。新NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託は、金融庁が定めた要件を満たす「長期」「積立」「分散」投資に適した商品に限られ、初心者の方でも気軽に始められることでしょう。

 

投資で資産を殖やすには、投資の利益を再投資する複利運用が大事です。複利効果はプラスの運用が続いた場合には長期であるほど成果を発揮し、やがて大きな資産に育ちます。新NISAであれば非課税での複利運用で投資効率を高められますので、老後の不安を解消するための強い味方となってくれるでしょう。

まとめ

 

長寿化が進み人生100年時代を迎え資産寿命を伸ばすためにも、老後への蓄えは必須とされています。老後の生活資金の準備は早ければ早いほど望ましいですが、物価高騰の影響で家計の負担は増え、教育費・住宅費の支出が多い現役世代では投資に回せる資金にも限りがあります。公的年金や退職金がどのくらいもらえるのか、老後の生活費はいくらぐらいかかるのかをご自身でも確認し、足りない資金については無理なく始められる少額投資を活用して蓄えることも検討しましょう。

 

趣味や旅行など好きなことに時間とお金を費やしながら、余暇を楽しみ豊かな人生を思い描くのであれば、現実的には十分な資金が必要になります。早めに計画を立てて一歩を踏み出せば、素敵なリタイアメントライフを歩み続けられることができるでしょう。

 

金融商品への投資はリスクがあるものの、少額かつ長期目線でコツコツ積み重ねることにより、時間が味方になって高い収益性を期待することができるものです。株式や投資信託などに少額から投資できる新NISA(少額投資非課税制度)はもちろんのこと、近年注目が集まる投資型クラウドファンディングも検討してみてはいかがでしょうか。

 

幅広い投資家の方へ、クラウドファンディングをおすすめする理由 | ヤマワケJOURNAL

 

Supervisor

監修者

水野 崇

Mizuno Takashi

1972年、群馬県太田市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒業後、東京エレクトロン株式会社に営業職として就職。信念を貫き自らの人生を切り開いていくことを決意し、2003年、30歳で早期退職。個人投資家(株式専業トレーダー)に転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。
法人経営に携わり複数事業のスタートアップに参画、スモールM&Aを経験。豊富な投資実績を評価され、証券会社等からセミナー講師・金融記事執筆・投資ファンド設立のビジネス提案を受ける。ライティング実績は10年以上あり、大手金融機関など月20本の執筆・監修案件を現在担当。
一人でも多くの方の金融リテラシー向上を支援したいと感じ、2018年12月にCFP資格の全6課目一括と宅地建物取引士資格を同時合格。独立系ファイナンシャルプランナーとしてライフプラン、資産運用、不動産、相続・資産承継など、年間100名以上の個別相談に対応。
日本FP協会「2021年FP広報センター」スタッフ業務に携わり、全国1000名を超える方から寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。大学や事業法人で講師を務め年80回登壇。学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義(2023年度は180コマ)を毎週行っている。

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