マネー&ビジネス

2025.05.21

太陽光発電だけでは不十分。系統用蓄電池こそがエネルギーシステムの安定性を築き、カーボンクレジット創出を加速する

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目次

黎明期から電力システムを支えた太陽光発電と蓄電池

太陽光発電の歴史を振り返ると、その初期から蓄電池との連携は重要視されていました。1954年に高効率シリコン太陽電池が発明され、宇宙開発で電力源として利用された際、日中に発電した電力を蓄電池に貯めて、夜間や日陰でも継続して電力を使えるようにするシステムが不可欠でした。

地上での利用が拡大した1970年代以降も、太陽光発電の電力を効率的に利用するためには蓄電池が必要不可欠であるという認識はありましたが、当時の蓄電池のコストや性能が課題となり、その普及は限定的でした。

そして21世紀に入り、高性能でコンパクトなリチウムイオン電池の技術が革命を起こし、家庭用蓄電池だけでなく、電力系統に直接接続する「系統用蓄電池」の導入が現実味を帯びてきました。これにより、太陽光発電と蓄電池の組み合わせはより実用的かつ社会インフラとしての役割を果たすようになりました。

クリーン電力の鍵、太陽光発電が抱えるリスク

脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を担う太陽光発電ですが、その特性には、いくつか課題とリスクが存在します。

 

<太陽光発電の課題とリスク>

 

①天候に左右される不安定な発電
太陽光発電の電力供給は、日照時間や天候に大きく左右されます。安定した電力系統への電力供給という観点からは、この不安定さが課題となります。

 

②電力需要時間とのミスマッチ
電力需要のピークは朝晩に訪れますが、太陽光発電の発電ピークは日中です。この時間的なずれは、発電した電力をそのまま効率的に活用できない場面を生み出します。

 

③電力系統への負荷増大
太陽光発電が日中に集中することで、電力系統の電圧が上昇し、系統全体の安定性を損なう可能性があります。

 

④設置場所の制約と環境への影響
大規模な太陽光発電所を設置するには広大な土地が必要であり、森林伐採や生態系への影響が懸念される場合があります。また、太陽光パネルの廃棄問題も将来的な課題です。

 

⑤初期投資の負担
家庭用・事業用問わず、太陽光発電システムの導入には大きな初期投資が必要となります。

 

⑥自然災害や経年劣化による損傷リスク
台風、積雪、落雷などの自然災害だけでなく、長期間の使用による太陽光パネルの劣化や電気機器の故障も、発電電力の低下や修理・交換費用の発生につながります。損傷した太陽光パネルは発電量を低下させるだけでなく、安全性への懸念も生じさせます。

 

 

これらの課題は、太陽光発電電力のポテンシャルを十分に引き出す上でのボトルネックとなり、電力系統への安定供給や経済的な運用を複雑にしています。

 

系統用蓄電池が太陽光発電の電力を「賢く」電力系統へ繋ぎ、カーボンクレジット創出を後押し

 

 

 

ここで鍵となるのが系統用蓄電池です。系統用蓄電池は、太陽光発電が抱える課題を解決し、その電力を最大限に活用する存在です。また、カーボンクレジットの創出にも貢献します。

カーボンクレジットとは、企業などが温室効果ガスの排出量を削減・吸収した量を「排出権」として取引する仕組みです。排出量の多い企業が、削減目標達成のためにクレジットを購入し、自社の排出量を相殺する目的で利用されます。地球温暖化対策を推進するための市場メカニズムの一つです。

 

 

 

 

<系統用蓄電池活用のメリット>

 

①発電電力の時間的シフトと安定供給
太陽光発電は日中に発電した電力を系統用蓄電池に貯蔵することで、発電しない夜間や電力需要が高まる時間帯にも、安定した電力を電力系統に供給できます。

 

②余剰電力の吸収と無効化の防止
日中に余剰となる電力を系統用蓄電池が吸収することで、出力抑制のリスクを低減し、電力を有効に活用できます。これは、電力を無駄にしないという点で、カーボンクレジットの創出にも間接的に貢献します。

 

③電力系統の安定性向上と再エネ導入促進
系統用蓄電池は、電力の需給バランスを調整するだけでなく、周波数制御や電圧調整といった系統安定化にも貢献します。

 

④新たな収益機会の創出とカーボンクレジット
電力市場の価格変動に応じて電力を充放電・売買することで、経済的な電力運用と新たな収益機会を生み出すことができます。また、系統用蓄電池の運用によって、化石燃料由来の発電を抑制し、排出削減効果がクレジットとして評価される可能性があります。

 

⑤災害に強く気候変動に対応するエネルギーシステム
系統用蓄電池は、非常用電源としての機能も持ち合わせており、大規模停電時においても一定の電力供給を維持し、エネルギーシステムのレジリエンス(回復力)を高めます。こうした災害対応力や安定供給体制の強化は、長期的な視点でのカーボンクレジット創出の基盤となります。

 

太陽光発電の電力を最大限に活かすために。系統用蓄電池への投資こそ、電力の未来を明るく照らし、脱炭素社会を加速する

太陽光発電は、クリーンな電力を創り出すための第一歩であり、脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を担っています。しかし、そのポテンシャルを真に発揮させ、持続可能なエネルギーシステムを構築し、カーボンクレジットの創出を加速するためには、系統用蓄電池との連携が必要不可欠です。

系統用蓄電池は、太陽光発電の電力を「貯める」「使う」「電力システムを安定化させる」という多岐にわたる役割に加え、カーボンクレジットという新たな価値を生み出すポテンシャルを秘めています。太陽光発電の課題を克服し、より安定した持続可能なエネルギーシステムを実現し、脱炭素の明るい未来を実現するため、系統用蓄電池への投資こそが重要なとなるでしょう。

 

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