マネー&ビジネス
2024.11.01
円安が進む今、日常生活に影響を感じる一方で、このタイミングを活かした資産運用が注目されています。為替の変動はリスクだけでなく,為替変動を味方にするチャンスでもあります。この記事では、円安の背景や影響に加え、今取り組むべき資産運用の方法についてわかりやすく解説します。
そもそも円安とは?円安と円高の仕組み・円安とは・円高とは円安のメリット・デメリットとは・円安のメリット・円安のデメリット円安の時におすすめの投資・資産運用・外貨建て資産を保有する円安の時に投資・資産運用を行う注意点・円高になることも想定しておく・長期的な目線で運用するまとめ
まずは「円安」と「円高」では何が違うのかを見ていきましょう。
円安とは、日本円の価値が他国の通貨(特に米ドル)に対して価値が下がることを指します。たとえば、以前は1ドルを100円で購入できたのが、円安になると1ドルを購入するのに110円が必要になります。これは円の価値が下がり、同じドルを買うのにより多くの円が必要になることを意味します。
円安は、日本と他国の経済状況や金利差によって起こります。この影響で、輸入品の価格が上がり、コスト上昇や消費者価格に影響を与える一方、輸出企業には有利に働く場合もあります。
円高とは、日本円の価値が他国の通貨、特に米ドルに対して価値が上がる状態を指します。たとえば、以前は1ドルを110円で購入していたのが、円高が進んで1ドルが100円になると、同じ外貨を購入するために以前より少ない円で済むことになります。
円高になると、輸入品が安くなり、海外旅行や留学費用も抑えられる一方で、輸出企業には不利になる場合があります。
円安が進む中で、私たちの生活や経済活動には実際にどのような影響があるのでしょうか。
円安がもたらす影響を正しく理解することで、今後の資産運用や経済的な判断に役立てることができます。ここでは、円安での具体的な影響について解説していきます。
日本の製品やサービスが海外で相対的に安くなり、海外の顧客にとって購入しやすくなります。その結果、日本の輸出企業は売上が増え、利益が得やすくなります。
例えば自動車メーカーや電機メーカーなど、海外に製品を多く輸出する企業にとっては、円安がプラスに働くことが多いです。円安は、日本の輸出産業の競争力を高め、経済全体の成長にも影響する場合があります。
外国人にとって日本での買い物や旅行が割安になります。
これにより、訪日観光客が増加し、観光業や宿泊業、さらに小売業にもプラスの影響を与えます。また、円安は外国人投資家にとって日本の不動産や株式を割安に感じさせるため、海外からの投資が増えることもあります。このように、観光業や投資が増加することによっての経済効果が期待できます。
海外に資産を保有している日本人や、日本企業が海外で得た収益を日本に戻す際に、より多くの円を受け取ることができます。例えば、海外不動産や株式に投資している場合、ドルやユーロなどの外貨を円に換金すると、円高のときよりも多くの円が手に入るため、資産価値が高まります。これにより、個人投資家やグローバルに展開する企業がメリットを享受できます。円安のタイミングで外貨建て資産を円に交換すれば、外貨建て資産を購入したときよりも多い円を得ることが可能です。
円安が進行すると、海外から輸入する商品や原材料の価格が上がります。
特に、エネルギー資源や食料品、工業製品など、日本が多く輸入に依存している商品に影響が大きく、企業のコストが増加します。このため、輸入品の価格が上昇し、最終的には消費者が払う商品価格も上がることになります。
円安によって輸入品の価格が上がると、国内での物価全体が上昇しやすくなります。
特に、エネルギーや食料品の価格上昇は日常生活に直結するため、家計負担が増加します。このようにインフレーションが進むと、消費者の購買力が低下し、経済全体の成長が抑制される可能性があります。特に、賃金が物価上昇に追いつかない場合、実質的な生活水準が下がるリスクが高まります。
円安時には、海外旅行や留学を計画している人にとって、費用が大幅に増加します。
日本円の価値が下がるため、海外での支出にはより多くの円が必要となり、旅行費や学費が高くなります。これにより、海外旅行や留学を検討している人にとって経済的な負担が重くなり、計画の見直しが必要になることがあります。また、円安によって海外の物価が相対的に高く感じられるため、現地でのショッピング代や飲食代も円高時に比べると割高になります。
円安が進行すると、日本円の価値が下がり、私たちの生活や資産に影響を与えることがあります。
しかし、そのような状況下でも、適切な対策を取ることで資産を守り、さらには増やすチャンスを掴むことが可能です。ここでは、円安のリスクに備えるために実行できる資産運用や投資の方法について詳しく解説します。
円安に備え、外貨建て資産を保有することも資産運用方法の一つです。
※外貨建て投資は為替リスクが伴います。円高になれば損失が発生する可能性があります。リスク管理には十分注意が必要です。
外貨預金とは、日本円ではなく外貨で預け入れる金融商品です。一般的に、円預金に比べて金利が高い傾向にあり、資産運用として魅力的な選択肢の一つです。外貨預金で得られる収益は、その国の金利に基づく利子であり、これを金利収入(インカムゲイン)と呼びます。資産運用において、金利の高さや為替変動リスクを考慮しながら、選択肢の一つとして検討する価値があります。
また、円安の際は為替差益(キャピタルゲイン)を期待できる場合もあります。
特に外貨積立は、ドルやユーロを複数回に分け購入し積立していく投資方法で、一度に多くの外貨を購入することなく、購入の平均価格を抑えることでリスクを抑えた運用が期待できます。外貨預金は初心者でも始めやすい投資の一つでしょう
しかし逆に円高に転じた場合には、為替差損のリスクも伴います。
そのため、外貨預金を運用する際には、短期的な為替変動に左右されないよう、中長期の視点で資産を増やすことが重要です。また、為替手数料のコストも考慮し、リスクを抑えるためには、複数回に分けて外貨を購入するなどの工夫が必要です。
外貨建て投資信託(国際分散投資型など)とは、投資信託のうちで基準価格(株式における株価)や分配金(投資家に還元するお金)が外貨で表示される金融商品です。プロのファンドマネージャーが選定した、株式や債券などの金融商品に分散投資し、リスクを抑えながら運用してくれます。
外貨建てのため、円安のときには、外貨を円に換算する際に利益が増える可能性があり、外貨預金と同様、円安時には魅力的な金融商品といえるでしょう。
ただし、購入手数料や信託報酬といった運用面でのコストがかかるため、中長期的な運用が前提となります。
債券とは、国や企業が資金を調達するために発行する有価証券で、投資家が債券を購入すると、発行体に資金を貸したことになります。債券を保有する投資家へは、満期まで定期的に利息を受け取り、満期時には元本やあらかじめ決められた金額が返還されます。
外国債券とは、発行体や発行市場、通貨のいずれかが海外である債券です。債券の発行する側に問題が発生しない限り、満期まで保有すれば、投資した額面金額が払い戻されます。国内債券に比べて利回りが高いことが多く、外国債券による円安のメリットとしては外貨預金と同じく、円安時には外貨建て資産を円に換算する際に為替差益が期待できます。
しかし、為替リスクも存在し、円高が進行した場合には為替差損が生じる可能性があるため、投資にはリスク管理が重要です。
外国株とは、海外の企業が発行する株式を外貨で購入し、配当金も外貨で支払われる仕組みです。
円安のときには、円を外貨に換えて株式を購入し、株価の値上がりや配当金を得ることができます。そうすると、外国株を売却して日本円に換金する際に為替差益を得ることができるため、円高の時よりも有利な運用が可能です。また、配当金も外貨で支払われるため、円安時に日本円に換算すれば、受け取る配当金の額も増えるというメリットもあります。
円安のときには、輸出関連企業やインバウンド需要を持つ企業に注目した日本株への投資も効果的です。円安により輸出企業は価格競争力を高め、売上や利益の増加が見込まれるため、株価の上昇が期待されます。また、インバウンド消費が拡大することで恩恵を受ける企業も多く、同様に株価の上昇が期待できます。
さらに、割安な高配当銘柄に投資することで、企業からの配当収入(インカムゲイン)とキャピタルゲイン(売却益)の両方が得られる可能性が高まります。
FX取引とは、外国為替市場で通貨の売買を行い、為替差益やスワップポイント(通貨間の金利差)で利益を狙う資産運用の方法です。円安のときには、米ドル/円などの通貨ペアでドルを購入し、為替差益を得ることが可能です。FXは外貨預金に比べて手数料が安く、取引コストが抑えられる点も魅力です。
また、FXではレバレッジを抑えて運用することで、低金利の円を売り、高金利の米ドルなどを購入することでスワップポイントによる金利収益を日々得ることができます。
円安が続いている場合でも、急に円高に転じるというリスクがあります。
為替相場はさまざまな要因で変動するため、投資や資産運用を行う際には円高になる可能性を常に想定しておくことが重要です。
例えば、外貨建ての資産の外国株、外国債券に投資していると、円安の時は有利ですが、円高になると日本円に換金する際に為替差損が発生することがあります。
このリスクを軽減するためには、外貨建ての資産だけに頼らず、円建ての資産も保有による分散投資をするなどリスク分散をし、バランスの取れたポートフォリオを作ることが大切です。また、為替ヘッジという方法を使うことで、円高のリスクを抑えることも可能です。
為替ヘッジとは、将来的な為替変動の影響を減らすために、円高になったときの損失を防ぐ仕組みを事前に整えておくことを指します。たとえば、円高に備えて逆に円を買う取引を行い、円高になってもその影響を軽減できるようにします。
ただし、ヘッジコストと呼ばれる手数料や経費がかかることがあり、これを考慮する必要があります。ヘッジコストは、為替リスクを避けるための保険のようなものです。コストはかかりますが、急激な円高による大きな損失を防ぐことができるため、長期的なリスク管理として有効な手段です。
円安のときに投資や資産運用を行う際には、短期的な利益を狙うのではなく、長期的な目線で運用することが重要です。為替相場や株価は、短期間で大きく変動することがあり、予想通りに進まない場合には損失を被るリスクもありますが、長期的に見れば、相場の変動に関わらず、安定した収益を得る可能性が高くなります。
前述のように外貨建て資産の外国株式、外国債券などに投資する場合、円安時の為替差益や利回りを期待できますが、短期的な市場の変動によって一時的に損失が出ることもあります。こうした状況に慌てて売却するのではなく、リスクを最小限に抑えながら長期的に保有し続けることで、相場が回復し利益を得られるという可能性もあります。
また、長期的な目線で運用することで、複利効果を活用することもできます。資産が増えると、その増加分がさらに運用され、時間の経過とともに資産がより大きく増える可能性があります。短期的な変動に左右されない資産運用を心がけ、じっくりと資産を育てていくことが、円安時の投資で成功するポイントです。
円安のときには、輸入品の価格上昇や生活費の負担増など、家計にとって厳しい状況を生む一方で、資産運用のチャンスも広がります。
外貨を利用した投資や、輸出企業・インバウンド関連の国内企業への投資は、円安の恩恵を受けやすく、資産を効率良く増やす手段となり得ます。
長期的な視点を持って円安・円高時の両方のリスクに備えつつ、将来に向けた資産形成に役立てていきましょう。
本コンテンツは、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものです。投資家は投資商品ごとのリスクを十分理解したうえで、投資について調査・検討し、自らの責任の下で投資を行うようお願いします。掲載されている情報を基に損害を被った場合でも、運営会社及び情報発信元は一切の責任を負いません。本コンテンツに掲載される情報は、弊社が信頼できると判断した情報源を元に作成していますが、その情報の確実性を保証したものではありません。なお、本コンテンツの記載内容は予告なしに変更することがあります。
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