マネー&ビジネス
2024.07.05
物価高に賃金上昇が追いついていない現状を踏まえ、国民負担を緩和することを目的とした、定額減税が今年6月から実施されました。
定額減税では、納税者本人だけでなく扶養家族も対象となり、年間で1人あたり所得税が3万円、住民税が1万円減税されます。
しかしながら、どれほど手取りが増えるのか、どの程度減税されるのかよく分からないという声も聞こえ始めています。
そんな方達も、今月の給与明細に記載され始めた一時的に“増えた”手取り額をみて、実感するとともに、増えたお金をどのように使おうと考えているのでしょうか。そして、そのお金は消費や資産形成へとつながるのでしょうか。
今回の政策が生活に与える影響について、令和の社会人が自由に使えるお金(おこづかい)をどのように使うかに焦点をあてました。
本調査では、20代~50代男女の合計1,007人を対象に、「定額減税とおこづかい相場」に関する意識調査を実施しましたので、その調査結果をお知らせいたします。
<調査サマリー>
・定額減税の理解度はどのくらい?
・定額減税についてどう考える?
・定額減税で増えたお金の使い道、「生活費」「貯金」が多数。
・気になる…物価高における、みんなの「おこづかい」相場
・令和の社会人、おこづかいは「~30,000円」が最多に
・おこづかいが足りないときってどうしてる?
・6割が投資経験あり、投資を始めたきっかけは6割以上が「老後資金のため」。
・まとめ
はじめに、定額減税の理解度についてうかがっていきたいと思います。
「2024年6月から始まった定額減税の仕組みや背景を理解していますか?」と質問したところ、6割以上の方が『よく理解している(12.8%)』『何となく理解している(48.5%)』と回答しました。
「聞いたことはあるが、理解はしていない(34.5%)」と回答された方も3割程の結果となり、見聞きはしているものの理解はできていない方が一定数いることが示されました。
では、定額減税についてみなさんはどのように考えているのでしょうか。
上記の回答者ごとに詳しく伺いました。
【よく理解している】
・住民税に関しては一定の評価はあるが、総合的に考えれば給付がよかった(30代/男性/会社員)
・仕組みが複雑で、物価上昇を補う金額メリットがないわりに事務的に負担感がある(50代/女性/会社員)
・もっとわかりやすく還元してほしかった(50代/女性/会社員)
【何となく理解している】
・正直なところ、経済にどのような影響を及ぼすか想像できていない(20代/男性/会社員)
・一時的なもので、電気代も上がると言われており何も変わらないと思う(30代/女性/公務員)
・税金の負担が小さくなってうれしい(30代/女性/会社員)
【聞いたことはあるが、理解はしていない】
・わかりにくい。徴収される税金額と比較して還元される実感がない(20代/女性/会社員)
・現金還元の方がいい(20代/女性/公務員)
・一時的では負担軽減にはならない(40代/女性/会社員)
【聞いたこともない】
・減税の実感がない(50代/女性/会社員)
・よくわからない(50代/女性/会社員)
経済にどのような影響を及ぼすのかわからないといった回答も出ており、一時的に増えたお金の使い道も明確になっていないことがうかがえます。
では、定額減税によって増えたお金はどのように使おうと考えているのでしょうか。
そこで、「定額減税によって増えたお金はどこに充てる予定ですか?(上位3つまで)」と質問したところ、『生活費(56.2%)』と回答した方が最も多く、次いで『貯金(自分用)(34.3%)』『貯金(家族用)(16.8%)』と続きました。一方で、自分や子どものために使うなどの回答は1割程という結果でした。
一時的に増えたお金は、消費に使うというよりも生活費や貯金に充てるという方が多いことが分かりました。また、1割未満と少ないものの資金運用の元金に充てるという方もいるようです。
「自分のために使えるお金」に充てるという回答もありましたが、自分のために使えるおこづかいは、物価高が始まる前と後ではどの程度変化しているのでしょうか。
そこで、「物価高が始まる前(2022年中旬頃)と比べて、おこづかいは変化しましたか?」と質問したところ、7割の方が『変わらない(70.1%)』と回答しました。
大半がおこづかい額に変化はないと回答した一方で、2割の方は「減った」と回答しました。生活費などの支出額が増えざるを得ない状況に、まずは趣味や娯楽にかかる費用を節約する様子がうかがえます。
では、令和の社会人は、おこづかいをどのくらいもらっているのでしょうか。
20代から50代の方に「現在のおこづかいの金額を教えてください」と質問したところ、『~30,000円(38.5%)』と回答した方が最も多く、次いで『~10,000円(22.7%)』『~50,000円(14.7%)』と続きました。
『~30,000円』と回答した方が3割以上と最も多くなり、次に多かったのが『~10,000円』という結果になりました。コンビニやその他諸々値上げされている中、20〜50代の社会人が自由に使えるお金の額としては、そこまで高くないように思われます。
では、過去最高のおこづかいの金額と比較するとどのような違いがあるのでしょう。
続いて、「過去最高のおこづかい金額はどのくらいですか?」と質問したところ、『~30,000円(28.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『~50,000円(18.1%)』『90,000円以上(15.6%)』と続きました。
『~30,000円』と回答した方が最も多いものの、『~50,000円』や『90,000円以上』といった回答が上位にあがりました。
自分のために使えるおこづかいですが、足りないときはどのようにやりくりしているのでしょうか。具体的に聞いてみました。
・配偶者と直接交渉する(30代/女性/公務員)
・貯金を切り崩す(30代/男性/会社員)
・生活費を削る(30代/女性/会社員)
・副業(40代/男性/会社員)
・我慢をする(50代/男性/会社員)
・昼食のグレードが下がる(30代/女性/会社員)
・妻に前借り(30代/男性/会社員)
・我慢するかフリマアプリを利用する(20代/女性/会社員)
どちらかが管理している場合には、おこづかいの前借りを相談するなどしているようです。
さらには、我慢して使わないようにする方や貯金や生活費を切り崩すという方、さらには副業で増やすという方など、対策法はさまざまであることが示されました。
では、貯金額についてはどうでしょうか。
「物価高騰が顕著になる前(2022年中旬頃から)と比較して、毎月の貯金額ついて最も当てはまるものを選択してください」と質問したところ、『変わらない(46.9%)』と回答した方が最も多く、次いで『余裕がなくなった(26.9%)』『まったく余裕がなくなった(12.6%)』と続きました。
毎月の貯金額について、変わらないと回答した方が4割以上と多いものの、『余裕がなくなった』『まったく余裕がなくなった』と回答した方が3割以上いました。
定額減税が始まった後でも、貯金するお金は変わらず、貯金に回せるお金が少なくなっているのかもしれません。
毎月のおこづかいや貯金額の変化が示されました。
おこづかいが足りないときに副業をしていると回答した方もいましたが、現在投資を行っている方はどのくらいいるのでしょうか。
「現在、投資をしていますか?」と質問したところ、『している(48.6%)』『過去にしたことがある(11.8%)』『したことはない(39.6%)』という回答結果になりました。
4割以上の方が、現在投資を行っているようです。
また、現在は行っていないが過去に行っていた方も1割程度いることが示されましたが、投資を始めたきっかけとは一体何なのでしょうか。
前の質問で『している』『過去にしたことがある』と回答した方に、「投資を始めたきっかけは何ですか?(複数回答可)」と質問したところ、『老後資金のため(69.7%)』と回答した方が最も多く、次いで『勉強や趣味に使えるお金を増やすため(28.1%)』『生活費のため(24.5%)』と続きました。
7割近くの方が、老後資金のために投資を始めたようです。また、勉強や趣味など自分のために使えるお金を増やすためや、生活費のために投資を始めた方もいることが判明しました。少ないですが、物価高の影響を受けて投資を始めた方も17.6%いるということから、資産形成の必要性を感じる方もいることがわかりました。
今回の調査結果で、定額減税の仕組みについて理解している方の割合や、物価高によるおこづかいや貯金の変化などが明らかになりました。
6割以上の方が定額減税の仕組みや背景を理解しており、定額減税で増えたお金は生活費に充てる予定の方が多いようです。
物価高が始まる前と比べておこづかいに変化はないという方が多く、現在のおこづかい金額は「~30,000円」が最多になりました。
一方で、貯金額については物価高騰が顕著になる前(2022年中旬頃から)と比較して、毎月の貯金額に変化がない方が多いものの、余裕がなくなった方も3割以上いるようです。
現在、投資を行っている方は4割以上、過去に行っていた方も1割程度おり、投資を始めたきっかけは老後資金、自分に使えるお金を増やしたり、生活に充てるお金のためという方が多いことが示されました。
調査概要
【調査概要】「定額減税とおこづかい相場」に関する意識調査
【調査期間】2024年6月21日(金)~2024年6月23日(日)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(
https://www.prizma-link.com/press)によるインターネット調査
【調査人数】1,007人
【調査対象】調査回答時に20代~50代男女であると回答したモニター
【調査元】We Capital株式会社(https://we-capital.co.jp/)
【モニター提供元】PRIZMAリサーチ
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