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2024.03.25

教育資金準備にも投資を活用できる?30代の子育て世代が知っておきたい資産形成方法を紹介


近年、投資は今まで以上に私たちの身近なものになりました。

 

国主体で進める新しいNISAやiDeCoなど、税制優遇のメリットを活かしながら、投資初心者でも利用できる様々な制度について耳にする機会が増えています。物価上昇によりお金の価値の下落が問題になる現代において、投資は老後資金や教育資金確保の手段として考えることがますます重要になるでしょう。

 

これから学費の用意を控える子育て世代にとって、教育資金の準備は長期的な計画が必要であるため、事前にコツコツとつみたてることが欠かせません。貯金や学資保険という選択肢もありますが、近年は政府も税制優遇制度を積極的に活用した資産形成を推奨しているため、ぜひ投資を検討しましょう。

 

本記事では教育にかかる費用を紹介した上で、投資を含めた教育資金の準備方法を紹介します。投資は「長期にわたって続けること」がポイントです。正しく理解を深め、教育資金確保につなげましょう。

 

教育資金の準備には長期的な投資が有効

人生の3大資金は「教育資金」「住宅資金」「老後資金」と言われますが、子どもが生まれると、まずは教育資金の捻出が課題になります。

 

目の前の子育てに追われながらも、親としては十数年先の子どもの独立までを見越した教育資金の準備が必要です。しかし、普段の家計収支に余裕がなかったり貯金が苦手だったりする場合は「子どもに十分な学ぶ機会を与えてあげられるだろうか」とお金の面で不安を抱えてしまいます。その場合は、中長期的な投資プランがおすすめです。

 

しかし、投資と聞くと一見「危ないのではないか」「素人が手を出すと損をするのでは」と怖さを感じる方もいるかもしれません。しかし、近年は長期積立や分散投資、少額でできる投資など、リスクを抑えながら資産形成できる投資商品が広く利用されています。

 

また、投資には「複利効果」があります。プラス運用が続いた場合には、中長期にわたって投資を続けることで、得られた利益が更なる利益を生む複利効果を享受できる可能性があります。複利運用では、一時的な運用益を受け取らず元本(自分が預け入れたお金)に含めて再投資することにより、時間の経過によって得られる利益を更に大きくすることが期待されます。この期間は長くなるにつれ「利益が利益を生む」という相乗効果が続き、より大きな金融資産に育つことでしょう。

教育資金は10年以上もの長い時間をかけて用意する場合が多いため、長期的な投資運用との相性が良いです。金融庁のNISA特別サイトにある「投資の基本」ページでも、教育資金を準備する場合、株式や少額からスタートできる投資信託などで、長い期間をかけて少しずつ増やしていくことがすすめられています。

 

出典:金融庁ウェブサイト「投資の基本

子ども1人あたりの教育資金はいくら必要?

ここからは具体的に必要になる「教育費用の一例」を紹介します。

今回は幼稚園から大学まで通った場合にかかる学習費を「公立・国立」と「私立」に分けて解説します。

・幼稚園から大学まで公立・国立に通う場合の費用

以下の表は、幼稚園から大学まですべて公立・国立を選択した場合、下記の金額です。

学校 費用
公立幼稚園(3年保育) 165,126円✕3(年)=495,378円
公立小学校 352,566円✕6(年)=2,115,396円
公立中学校 538,799円✕3(年)=1,616,397円
公立高等学校(全日制) 512,971円✕3(年)=1,538,913円
国立大学(初年度) 817,800円
国立大学(2年〜4年)3年間の学費(*) 535,800円✕3 (年)= 1,607,400円
合計 8,191,284円

出典:文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査の結果を公表します」、旺文社 教育情報センター「2023年度 大学の学費平均額」より

※国立大学の標準額[文部科学省令](昼間部)

 

合計で800万円以上の教育に関わる費用が必要です。また、大学で下宿(自宅外通学)する場合は別途、住居費・生活費も必要になります。

・幼稚園から大学まで私立に通う場合の費用

次に幼稚園から大学まですべて私立に通った場合の金額を見てみましょう。

学校 費用
私立幼稚園(3年保育) 308,909円✕3(年)=926,727円
私立小学校 1,666,949円✕6(年)=10,001,694円
私立中学校 1,436,353円✕3(年)=4,309,059円
私立高等学校(全日制) 1,054,444円✕3(年)=3,163,332円
私立大学(初年度) 1,642,634円
私立大学(2年〜4年) 971,664円✕3(年) = 2,914,992円
合計 22,958,438円

出典:文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査の結果を公表します」、旺文社 教育情報センター「2023年度 大学の学費平均額」より

 

すべて私立の場合は公立の倍以上、教育資金がかかることが一般的です。また、国公立、私立問わず医学部や歯学部・薬学部などに通う場合は、大学在学年数が増えることで家計の負担も大きくなります。

 

このような統計データで確認しても、子ども1人あたりの教育資金は約800〜2,300万円と大きな金額が必要になりますので、早めに準備が必要とわかります。

教育資金を準備する方法

ここでは、教育資金の準備方法として比較されることの多い「学資保険」と「投資」を取り上げます。

節約や貯金など普段取り組んでいるものだけでなく、「効率的に教育資金を準備する」という点に意識を向けて検討してみましょう。

学資保険

学資保険は子どもの将来に必要となる学費を少しずつ貯められます。団体扱いの学資保険であれば、毎月の給与天引きで保険料を支払うことになり、「自分で貯金ができない」という方におすすめの選択肢です。

 

学資保険の満期保険金やお祝い金を受け取るタイミングは、契約者自身で設定できる商品もあります。「中学校に上がるタイミング」「大学に入学するタイミング」と自由に決められ、入学金や授業料などまとまった資金が必要なタイミングで役立つでしょう。

 

満期保険金・お祝い金の使い道に制限はありませんので、受け取ったお金を投資にまわすことも可能です。学資保険の場合、契約者である親が亡くなった場合は、その後の保険料払込みが免除され、保険契約当初の予定どおり学資金を受け取れる点が強みです。

投資

株式や投資信託などの金融商品を購入して資産を運用し、売却した際の譲渡益(値上がり益)、配当金・分配金の受け取りによってお金を増やします。目先のお金を準備するというよりも、将来への備えのために適した資産形成方法です。

 

一般的に中長期で「分散投資」を行うと、価格変動リスクが軽減され利益を得られやすいと言われます。ただし、株式や投資信託などの金融商品は、貯金や学資保険とは異なり、購入時と比べ売却時の資産価値が下落する元本割れのリスクが伴う点に注意が必要です。

 

教育資金は「いま」でなく、「将来」必要なお金であることから、中長期でお金を増やすという目的を持つ長期運用型の投資と相性が良いです。

教育資金の準備に適した4つの金融商品

ここからは投資において代表的な3つの金融商品と、近年注目され始めた「投資型クラウドファンディング」を紹介します。一口に投資といっても各商品で特色が異なります。自分の知識やリスク許容度を把握して選択がおすすめです。

・投資信託

投資信託は投資家から広く集めたお金を、ファンドマネージャーと呼ばれる専門家が投資先と運用方針を決め、株式や債券などで運用し得られた利益を投資額に応じて還元する仕組みです。投資信託の場合、銘柄や商品を決めたあとの運用は専門家に任せるため、基礎的な知識で投資が行えます。積立型の投資信託であれば、金融機関によってはわずか100円からスタートできるものもあるため、投資をはじめやすいメリットがあります。

 

なお、投資先は国内だけに限らず海外(全世界、先進国、新興国)を含め幅広い地域が対象です。そのため、社会情勢におけるリスクを分散することも可能です。例えば、毎月1万円の投資予算があるのなら、先進国と新興国を対象にした投資信託に5,000円ずつ投じると、リスク分散しつつもリターンを期待できるでしょう。

 

また、ファンドの投資対象は株式や債券、REIT(不動産投資信託)、金など、多岐にわたります。国だけでなく資産・銘柄も分散すると、よりリスクを抑えられます。しかし、元本が保証されない点に注意が必要です。

・株式投資

株式投資は証券取引所に上場している様々な企業(株式会社)にお金を投資し、リターンを目指す方法です。企業が事業資金を集める方法の一つに株式の発行がありますが、株式を購入した「株主」は出資者として、配当金・株主優待などを受け取る権利を得ます。

 

株式投資の場合は、購入した株式の価格(株価)が上昇したタイミングで売却するとキャピタルゲイン(値上がり益)を得られ、企業が得た利益の一部を株主に還元するインカムゲイン(配当金)も獲得できます。また、企業によっては商品や自社サービスを受け取れる株主優待があります。投資信託で投資の仕組みに慣れてきた方におすすめの選択肢です。なお、株式投資や投資信託などにおいては、新しくなったNISA(少額投資非課税制度)の活用もおすすめです。

 

しかし、企業の業績悪化や倒産、社会情勢により株価が著しく下がるようなリスクについても視野に入れることが欠かせません。

・債券投資

債券投資は国や地方公共団体、企業などが発行する、資金の返済日や利子の条件を明確にした有価証券に投資する方法です。

 

債券は、一般の投資家から借り入れを行う目的で発行される借用証書のようなものであり、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。満期まで保有すると元本や約束した金額を受け取れるため、元本割れリスクを軽減できます。ただし、途中で売却すると価格が値下がりしてしまったり、団体によっては倒産や破綻の可能性があったりします。

・投資型クラウドファンディング

投資型クラウドファンディングは、不特定多数の人からお金を集める資金調達の方法です。クラウドファンディングには、寄付型、購入型、融資型、株式投資型、ファンド型、不動産型など様々な種類がありますが、投資型のクラウドファンディングでは「配当」を受け取ることが可能です。あらかじめ想定利率が定められていることが多く、利益を予想しやすいのも魅力といえるでしょう。

 

なお、投資型のクラウドファンディングの中でも「不動産型クラウドファンディング」は、近年成長を遂げており、インターネットを通じて集めた資金を不動産の運用に特化させているものです。

 

不動産投資は投資の中でも知識と経験を求められ、初心者にとってはハードルが高いものですが、クラウドファンディング型であれば少額かつハードルを下げて取り組めるでしょう。

 

なお、投資型クラウドファンディングについては下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

クラウドファンディングとは?歴史や仕組み、活用方法まで徹底解説 | ヤマワケJOURNAL

 

まとめ

教育資金や老後資金など、子育て世代が将来必要となるお金を準備するには、長期的な視野に立った投資を目指しましょう。

 

投資にはじめて取り組む場合は少額からスタートしたり、投資信託で投資そのものの流れを掴んだりすることが大切です。ある程度、投資について理解を深めたあとは、株式や少額から投資可能な投資型クラウドファンディングなどにも少しずつ選択肢を広げてみてはいかがでしょうか。

Supervisor

監修者

水野 崇

Mizuno Takashi

1972年、群馬県太田市生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒業後、東京エレクトロン株式会社に営業職として就職。信念を貫き自らの人生を切り開いていくことを決意し、2003年、30歳で早期退職。個人投資家(株式専業トレーダー)に転身。これまでに年間最高売買代金350億円超、月間最高利益2414万円を達成。
法人経営に携わり複数事業のスタートアップに参画、スモールM&Aを経験。豊富な投資実績を評価され、証券会社等からセミナー講師・金融記事執筆・投資ファンド設立のビジネス提案を受ける。ライティング実績は10年以上あり、大手金融機関など月20本の執筆・監修案件を現在担当。
一人でも多くの方の金融リテラシー向上を支援したいと感じ、2018年12月にCFP資格の全6課目一括と宅地建物取引士資格を同時合格。独立系ファイナンシャルプランナーとしてライフプラン、資産運用、不動産、相続・資産承継など、年間100名以上の個別相談に対応。
日本FP協会「2021年FP広報センター」スタッフ業務に携わり、全国1000名を超える方から寄せられる「くらしとお金」の電話相談を1年間担当。大学や事業法人で講師を務め年80回登壇。学校法人専門学校では非常勤講師として金融リテラシー講義(2023年度は180コマ)を毎週行っている。

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