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2024.05.07
厚生労働省は、令和6年度から国民年金の支給額を66,250円から68,000円へ、厚生年金の支給額を224,482円から230,483円に引き上げることを発表しました(*1)。
前年度と比較すると2.7%の支給額の上乗せとなり、バブル影響下の1993年以降最も高いといわれています。
しかしながら、年金給付水準を確保するためにある「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みにより、物価や賃金の伸び率よりも支給額の上昇率が低く抑えられたため(*2)、実質的には目減りしているとメディアでは報じられています。
将来、今のような物価高が続く場合、年金が受給される年齢に達した時に医療費や生活費の増加に対して、老齢基礎年金だけでは賄い切れない方が増えるかもしれません。
このような状況を、多くの人はどのように捉えているのでしょうか。
本調査では、全国の20代~50代の男女合計1,005人を対象に、「年金への期待」に関する意識調査を実施しましたので、その調査結果をお知らせいたします。
(*1)参照:厚生労働省「令和6年4月分からの年金額等について」:国民年金は(老齢基礎年金(満額))。厚生年金は、平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。いずれも昭和31年4月2日以後生まれの方の場合。
(*2)去年の物価上昇率が3.2%、過去3年間の名目賃金の上昇率が3.1%となったことを受けて、年金支給額の上昇率2.7%となり賃金の上昇率より0.4%ほど低い。
<調査サマリー>
・年金に期待していない!? 年金引き上げの認知率は3割に届かず
・年金に「期待していない」方は7割以上に
・大事なのは「今」使えるお金? それとも「未来」のお金?
・今のお金と未来のお金、それぞれに大事だと思う理由
・約5人に2人は老後資金の準備に取り組んでいる!
・短期型の投資商品に対する意識
・まとめ
はじめに、「2024年の4月以降、年金が上乗せ(=新年度の年金支給額が2.7%引き上げ)されることをご存じですか?」と質問したところ、7割以上の方が『いいえ(74.7%)』と回答しました。
年金が上乗せされることをご存知の方は少数派ですが、将来受給される年金に対してどの程度期待しているのでしょうか。
そこで、「将来、受け取ることのできる年金にどのくらい期待していますか?」と質問したところ、『とても期待している(6.5%)』『ある程度期待している(15.9%)』『あまり期待していない(42.1%)』『全く期待していない(35.5%)』と回答しました。
「期待していない」の割合を合計すると7割以上となることからも、年金への期待が薄い様子がうかがえました。
さらに、2024年4月から年金が引き上げられることについてどのように感じているのか詳しく聞いてみました。
【あまり期待していない・期待していないと回答した方】
・物価高で仕方ないと言いたいが、負担が増えるばかりで手取りが減るので賛成できる部分がほぼない。
(20代/女性/会社員)
・今後世代間の人口のバランスが変わっていくなかで、現行の年金システムで財政が破綻しないのか。破綻するならば早めに教えて欲しい。
(20代/女性/公務員)
・生活が豊かになるほど年金が引き上げられるとは思えません。それを想定して若いうちから資産形成する人に対して、将来、資産があるから年金減額といった構図にはならないでほしいです。
(30代/男性/公務員)
・引き上げ率が物価上昇率に追いついておらず、支給額が多少増えても得した気分にはならない。
(40代/男性/パート・アルバイト)
【とても期待している・ある程度期待していると回答した方】
・物価の上昇が家計にかなり響く上、今後も物価の上昇が予測できるが、少しぐらいの年金額上昇があったとしても実質マイナスになるから、カバーできないと思います。
(20代/女性/専業主婦)
・年金を将来いくらもらえるかわからないけど、支給額引き上げは普通に嬉しいです。
(40代/男性/会社員)
・引き上げされること自体は嬉しいですが、生活していくのに十分な金額ではないと思います。できれば、大幅に引き上げてほしいです。
(40代/女性/会社員)
・物価が上がってるのだから、年金の引き上げは当たり前であって、このまま実質目減りしたままの状態が続けば、ますます年金を納める若者が減っていって、この制度は崩壊するとしか思えない。
(50代/女性/自営業・自由業)
年金の引き上げについて、期待はしているものの、物価高といった厳しい状況に「当たり前」「実質目減り」といった意見もあがっており、将来の生活に不安を感じていることがうかがえます。
年金とは、老後や就労困難となった際に、国民同士で暮らしを支え合うという社会保険の考えで作られた制度です。しかし、電気料金や食品、生活用品、サービスの値上げなどの物価高が続くなか、現在の生活に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
「“今”のお金と“未来”のお金、どちらのほうが大事だと思いますか?」と質問したところ、『今のお金(21.5%)』『どちらかと言うと今のお金(31.0%)』と、合計で過半数の方が今のお金のほうが大事だと考える傾向があることが明らかになりました。
どのような理由があるのでしょうか、「今のお金」「未来のお金」それぞれを具体的にうかがってみました。
【今のお金】【どちらかと言うと今のお金】
・今必要なことにお金を使って充実した人生を送りたいと思っています。今を楽しみたい。
(20代/女性/学生)
・子どもが3人いるため暮らすのがやっとです。どうやって3人を社会に送り出せるか。今が大事です。
(40代/女性/パート・アルバイト)
・いつ何が起きるかわからないので未来のお金のことばかり考えるのは…
(50代/男性/会社員)
【未来のお金】【どちらかと言うと未来のお金】
・まだ若いので就職先も見つけやすいけど、年齢が高くなるにつれて働くのが難しくなると思うので、未来のお金のほうが大事だと思います。
(20代/女性/専業主婦)
・老齢年金だけでは老後の生活に足りないということが予想されているため。
(30代/男性/会社員)
・目先のお金は何とかなるが高齢となった未来のことは予測が難しいので今のうちから貯蓄等をしておく必要はあると思う。
(50代/男性/会社員)
今使えるお金のほうが大事だと感じている方がわずかに多い結果となったものの、未来のお金も疎かにはできないと考えている方も多いことからどちらも大事であることが伺えます。
それぞれの理由には、どのような背景があるのでしょうか。
まずは、前述の質問で「今のお金」「どちらかと言うと今のお金」と回答した方に、「“今”のお金が大事な理由を教えてください(上位2つまで)」と質問したところ、『生活水準をあげたいから(39.3%)』と回答した方が最も多く、『趣味や好きなことに使いたいから(35.9%)』『旅行に行きたいから(19.2%)』と続きました。
続いて、反対に「どちらかと言うと未来のお金」「未来のお金」と回答した方に、「“未来”のお金が大事な理由を教えてください(上位2つまで)」と質問したところ、『老後が不安だから(68.8%)』と回答した方が最も多く、『病気・介護に備えるため(25.3%)』『生活水準を維持するため(20.3%)』と続きました。
それぞれが、日々の生活で重視するポイントが見えてきました。
一般的に、夫婦2人の場合、老後資金は2,500万円が必要ともいわれています。
先ほどの質問で、わずかに“今のお金”を大事にしている方が多いことがわかりましたが、老後資金の準備についてはどう考えているのでしょうか。
そこで、「老後資金の準備に取り組んでいますか?」と質問したところ、約4割の方が『はい(43.3%)』と回答しました。
ここまでの調査で、過半数が「今のお金」が大事と回答したにもかかわらず、約2人に1人は老後資金の準備に取り組んでいるという事実が明らかになりました。
では、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。
前述の質問で「はい(老後資金の準備に取り組んでいる)」と回答した方に、「老後資金の準備として取り組んでいるものを教えてください(複数回答可)」と質問したところ、『貯金(40.2%)』と回答した方が最も多く、『投資信託(39.1%)』『定期預金(32.0%)』と続きました。
貯金や投資信託といったインフレ(物価上昇)に強い商品で長期的に運用している方が多いようです。しかし、これらはいずれも“今のお金”を増やすことは難しいかもしれません。
では、1年~数年といった比較的短期間でリターンが期待できる投資があるならばどうでしょうか。
最後に、「1年以内や数年程度の期間、固定利回りで投資できるなら行いたいと思いますか?」と質問したところ、『はい(44.3%)』『いいえ(55.7%)』と回答しました。
比較的短期間で利益が得られる投資ならば期待ができる、という方は一定数いることがわかりました。
今回の調査で、年金に対してあまり期待していない傾向が示されました。
2024年4月から年金の引き上げが行われますが認識率は3割に届かず、また、引き上げが行われても若い世代の負担が増えるのではないか、賄い切れないのではないかといったことが懸念として挙げられました。昨今の物価上昇もあり、将来受給されることになる“未来のお金”よりも、現在の生活費のほうが大事だと考える方が比較的多いのかもしれません。
一方で、未来のお金が大事だと考えている方の約7割が「老後が不安」と感じており、全体の約4割が老後資金の準備に取り組んでいることも明らかになりました。
資産運用は長期期間かけて行うことで安定したリターンが期待できますが、「今のお金が大事」という方は、たとえば、1年以内や数年程度の運用期間で不動産を投資対象とした不動産クラウドファンディングを検討してみるのも良いでしょう。不動産クラウドファンディングにおいて、運用期間中でも予定より早く投資対象となる土地や物件が売却される場合には、償還日を早めて投資家に償還金と分配金の配当を実施することもあります。そのような不動産クラウドファンディングでは、運営する事業者の投資対象の売却実績や償還実績などを見ることが重要です。
比較的短期間で元本が償還される資産運用も考えてみてはいかがでしょうか。
調査概要
【調査概要】「年金への期待」に関する意識調査
【調査期間】2024年4月4日(木)~2024年4月5日(金)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
【調査人数】1,005人
【調査対象】調査回答時に20代~50代男女と回答した全国のモニター
【調査元】We Capital株式会社(https://we-capital.co.jp/)
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
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